顎関節脱臼

顎関節脱臼整復術

患者の頭部を固定する。術者は親指を下顎骨外斜線上(第3大臼歯部の外側),またはガーゼを親指に巻いた後に下顎大臼歯の咬合面上に置く。その他の指は下顎の下で曲げておく。患者にあくびをするように大きく口を開けるよう指示し,その後,術者は下顎が整復するまで大臼歯上に下向きの力を加えつつ,顎先に上向きの力を加える。

脱臼状態でも下顎頭の回転運動によりある 程度は開閉口が可能であるため,患者に開閉口運動をさ せて,患者自身の閉口筋力も利用して整復するようにし ている。具体的には,整復したい側の下顎臼歯部咬合面 に利き腕の親指を乗せ,下顎角を残りの 4 指でしっかり 把持する。患者の前でも後ろでも横でも立ち位置は構わ ない。しっかり把持したまま,患者自身の開閉口に同調 して手も動かす。閉口運動の末期で,開口運動に移る直 前にタイミングを合わせて,親指に力を入れて下顎を後 下方に押し込む。患者の開閉口にいかに同調させるかが 重要である。 新鮮例であれば,この方法で整復できなかったことは ないが,関節痛により徒手整復法が困難な場合は,各種 除痛法(消炎鎮痛薬 NSAIDs の内服,局所麻酔薬の関節 腔内注射,静脈内鎮静法,全身麻酔)などを併用する

kaibou_html_38d58211