足の浮腫、むくみ 

むくみのメカニズム

       血液は心臓から動脈を経て毛細血管にまで運び、酸素や栄養素などの必要な物質を細胞へ送り出し,細胞から二酸化炭素や老廃物などの不要なものを毛細血管から再吸収して心臓に戻るという循環が行われています。
心臓がポンプのような働きをすることにより、私たちの体内に流れる血液は動脈を通して水分や栄養分を細胞へ運び、細胞内で不要となった水分が、静脈やリンパ管より戻ってきて循環しています。しかし、静脈やリンパ管の流れが停滞し、戻ってくるべき水分が溜まってしまっている状態がむくみです。
 リンパ管は静脈で処理できなかった老廃物や余分な水分を運ぶのをさぽ-としています。毛細血管から出た老廃物や余分な水分などの約90%は静脈の毛細血管より運ばれ、残りの10%が毛細リンパ管に運ばれています。リンパ管は、細菌やウィルスなどを退治してくれる重要な役割を果たしています。

この静脈とリンパ管の働きが悪くなるとむくみが生じるのです。
           

浮腫の原因

 1 高齢者

 老人の足がむくみやすい理由は、筋力の低下です。脚の筋肉が弱くなり、血液を上に押し上げることが難しいのです。また、心臓の働きが落ちることも足の甲にむくみが生じやすくなります。腎臓の機能も年齢に従って落ちてきます。
皮膚のハリも影響します。皮膚の弾力性が弱いために水分を十分に静脈に戻せないということもあります。

           

 

2長時間の同じ姿勢

         足のむくみの原因の1つに立位を長くとることがあります。重力の影響を受けるので、起きている時にはどうしても下に溜まりやすくなります。

さらに、長時間のデスクワークなどをすると筋肉のポンプ作用が落ちます。で長時間動かない姿勢でいると筋肉を動かさないため、。血行不良になることで、リンパ管の働きが鈍くなり、足の甲は心臓から遠い位置、しかも下にありますからむくみが生じやすくなります。時には、足の甲にしびれを感じる人もいると思います。

 

           

3 筋力の低下

 

脚全体の筋力が少ないと、血液の循環が悪くなりやすいのです。近年は、男性も女性もあまり動かない状況(PCで仕事・エレベーター・エスカレーターなど)が多いので筋力が低下しやすくなっています。
下肢の筋肉は収縮することにより血液を循環させるポンプの役目を果たします。運動不足によって足の筋肉が衰えると、そのポンプ機能が低下しまい足に水分が溜まりやすくなってしまうのです。

さらに足先の毛細血管まで血液が潤滑に流れなくなり、冷え性や血行不良を伴うむくみが起こります。
筋肉は、歩いたり、走ったりと動くための役割の他に体の組織を支え、また筋肉内に水を貯えたり下半身の血液を心臓へ送る役割も果たしています。 

運動をすることで筋肉が収縮し、筋肉が直接リンパ管を押してくれるためスムーズに流れることができるようになります。
足の甲のむくみをそのまま放置していると、余分な水分や外に排出すべき老廃物が蓄積した状態になり悪化。足の甲のむくみを解消せずに、さらに放置し続けると、静脈の弁を傷つけてしまうことにもなりかねません。(下肢静脈瘤)

4水分・塩分の摂り過ぎ

 水分や塩分を採り過ぎることにより、血液中の水分が増えてしまいます。それにより余分な水分が留まりやすくなり、むくみの原因になります。

 

5内臓疾患

         むくみは、内臓からのサインである場合もあります。心臓・肝臓・甲状腺、腎臓などです。
心臓⇒心不全があるとむくみが生じやすくなります。心臓は、全身へ血液を送る役割を果たしています。この力が弱まってしまうため、余分な水分は肺に溜まっていき、静脈のうっ血を起こすために足にむくみが生じます。心不全の症状は動機・息切れ・呼吸困難・むくみです。最初は、階段や坂道を登る時に動機や息切れがし、進行してしまうと平坦な道でも息苦しくなります。さらに進行してしまうと、息苦しさで眠れない症状が出てきます。

肝臓⇒肝臓では、アルブミンというタンパク質が生成されています。アルブミンは血液を通って、栄養分を運ぶ役割と水分を血管内にとどめてくれる役割を果たしています。血管内に水分をとどめてくれることで、サラサラした血液が流れるのです。肝臓の働きが低下すると、アルブミンを生成する量が減ります。血液中の水分を保てなくなり、細胞に水分が染み出し、むくみになります。
 身体のむくみ・黄痕(眼球や皮膚が黄色くなる)・倦怠感・不眠・過度の眠気・食欲不振・爪が白くなる・息切れなどの症状が出ます。
腎臓⇒腎臓の働きは、体内の水分を一定に保ったり、血液中の老廃物を除去し、体外へ排出させる役割があります。腎臓が弱ってしまうと、余分な水分やナトリウムを排出できなくなり、むくみに繋がります。

・甲状腺機能の異常

、血液中の甲状腺ホルモンが不足した状態(甲状腺機能低下症)のことを言います。甲状腺ホルモンが不足するとなるむくみは、皮膚を押しても元に戻らないのが特徴です (non-ptting edema)。顔や手にもむくみが出て、まぶたが腫れあがることもあります。

 

6ホルモンバランス

     女性では生理前にはむくみやすくなります。女性で黄体ホルモンが優位な時期には、妊娠に備えて体に栄養分や水分を溜め込むようになります。血液量を増やして、全身に血液が行き届くように働いています。
 ホルモンバランスの乱れも影響します。女性なら生理周期が一定でない人や生理痛がひどい人は注意が必要です。ホルモンバランスの乱れは、そのまま自律神経の乱れに直結します。交感神経が緊張状態になると血管が収縮、血液やリンパの流れが悪化することになってしまいます。

 妊娠

妊娠中の人は、むくみやすいと言われています。妊娠中は血液量が増加し、血液から体液が漏れてしまうとむくみに繋がります

むくみは産後にも現れる可能性があります。その理由として、妊娠中に増加した血液量が羊水と共に出産により急激に低下しますが、体が水分を蓄えようとするために足の甲までむくみが生じます。

7静脈の異常

深部静脈血栓症(エコノミー症候)

          足の甲のむくみの原因がエコノミー症候群の場合、恐ろしいことに血栓ができても症状がなく、気づかない場合がほとんどです。血の塊ができても、血管を塞がない場合なら気づくのは難しいのです。エコノミー症候群は、飛行機を降りて、ゲートに向かう時に急に下腿が赤くなり、腫れ、痛みなどがおこるものをいいます。

下肢静脈瘤

       下肢静脈瘤とは、静脈がコブ(瘤)のように膨れ上がっている状態のことです。足のだるさや重さ、むくみなどが慢性的に起こり、生活レベルを下げてしまします。

足の甲のむくみを長期放置すると危険な場合もあります。少しでもこのような症状がある人、気になる症状を感じる人は、早めに受診することをおすすめします

8冷え性

   冷え性は、いろいろな症状を生み出します。
血行不良は冷えを生み出します。末端にまで血液がうまく運ばれていないため、手足が冷えたりという症状が出てきます。血液がうまく循環していないと老廃物や余分な水分などを再吸収しにくくなってしまうため、ほぼ末端である足の甲のむくみが生じます。
自律神経による血行不良もむくみをおこします。自律神経には、交感神経と副交感神経があります。興奮したり、不安になったりすると交感神経が優位になります。交感神経は血管を収縮する働きがあります。慢性的に不安などを抱えている人は注意が必要です。

 

 

9高血圧
 高血圧の人も血行不良が起きています。高血圧の人は、血管が収縮や狭窄をおこしているため血液の流れがスムーズではないからむくみが起こるのです。足の甲のむくみは、病気や不調のサインかもしれません。

むくみのチェック法

 指で押す

     下腿部の骨の上を指で押さえます。通常なら皮膚のはりがあればすぐに元に戻ります。圧痕が残っているなら病気の可能性があります。
片方の足のむくみ、左右むくんではいるがかなりむくみの大きさが異なる場合
 片脚の甲のみむくむのは、炎症が起きている時やアレルギー症状、かぶれ、脳梗塞で麻痺した時などの可能性が高くなります。もしくは、片方の脚の血管に血栓が固まっている可能性もあります。

痛み・しびれか有るか無いか?
      長時間、立ち仕事をしている人などは足の甲のむくみから痛みやしびれなどの症状があるかもしれません。これは、長時間、正座していて起こるしびれ・痛みの同じ原理です。靴下の跡が残っていたり、靴がきつく感じたりする人も多いと思います。一時的なら、帰宅後に自宅でケアすれば軽くなるので問題はありません
  

  足の甲のむくみがなかなか引かず長時間続いたり、皮膚の表面が明らかに異なってきたり、皮膚に痒みが表れたり、筋肉がけいれんしたりなどの変わった症状があるならば、早めに受診して検査を受けた方が賢明です。

腫れをひかす作用のある漢方薬
 牛車腎気丸
 八味地黄丸

五苓散

防己黄耆湯

 療方調流(りょうほうちょうりゅう)

西洋薬

 各種利尿剤

 

運動療法

つま先立ちストレッチ

バレエの足の甲ストレッチです。下腿の裏の筋肉を使います

一番簡単にできる運動は、ウォーキングです。歩きやすい靴を履いている時には、1駅歩くなどして、定期的に歩きましょう。正しく歩くことで、下半身の筋肉を全体的に使うのでむくみが軽減します。かかとを上げ下げするカーフレイズや足首を回す運動も足の甲のむくみを解消するのに効果的です。

 

弾性ストッキング :

リンパ性浮腫や原因が不明な浮腫にはにはこれをつかいます。

 

食事で気を付けること
 ・ナトリウムとカリウムのバランス⇒現代は、ナトリウム(塩分)がどうしても多くなりやすくなってしまいがちです。外食している人は特にナトリウムが過剰になっている場合が多いのです。

・血液中のたんぱく質が不足すると浮腫が生じます。
  タンパク質を夕食に摂る⇒タンパク質は睡眠中に多く使われます。筋肉・骨・血液・ホルモンなどを構成するための主要成分になるのでしっかりと摂りましょう。