腰椎椎間関節症

 

腰痛がある人で、腰を前に曲げるより腰をそらしたほうが痛い場合は、腰椎の後方要素であるである椎間関節の異常によって起こる椎間関節性腰痛が考えられます。

 

「床の物を拾おうとした瞬間に腰に激痛が走り、起き上がることもできなくなった患者さんがいます。これら急性腰痛を「ギックリ腰」と読んでいますが、このギックリ腰の原因として多いのが「椎間関節症」です。

 ギックリ腰の原因として他には椎間板ヘルニア、脊柱支持靭帯の異常、筋筋膜性のものなどが挙げられます。

 

 脊椎の後方にある一対の上下関節突起の間にある関節の周りをを覆う滑膜のヒダがはまり込んでしまったり、変形が起こったりして生じる状態が椎間関節症です。

 

  腰椎にかかる負荷のうち、前方にある椎体と椎間板が約80%、後方にある椎間関節が約20%を受け止めています。椎間関節の周りには関節を覆うようにしてつないでいる関節包という袋があります。関節包は関節をつつんで安定させ、背骨が過度に動くのを防ぐ働きをしています。  

  体が硬くなっている人が、急激に可動範囲の限界まで動かすような事をすると、関節包に異常な力がかかりこ椎間関節性腰痛を発症することがあります。

 

  また椎間関節には脊髄神経後枝・内側枝という神経からの支配を受けています。また、臀部や大腿外側も脊髄神経後枝・皮枝と呼ばれる神経に支配されているので、椎間関節が損傷すると臀部や大腿外側に

痛みやしびれ感を生じます。

 朝起床時に起きにくく動作開始時の片側性の痛みを特徴とします。また、痛みがある棘突起の外側を左右に動かすことで、痛みが誘発されます。

 

 この場合、診断を兼ねて椎間関節ブロックを行ないます。一度のブロックで痛みが合取れてしまうこともあります、

慢性の頸部痛,背部痛,腰痛のうち,頸部痛では約4割,背部痛も%,腰痛約4割では15~45%は椎間関節が関係しているとされています。.このように,椎間関節由来の痛みを持つ患者は多く,日常診療でも後枝内側枝ブロックや椎間関節ブロックは,非常に多用されて治療効果を挙げているだけではなく,診
断的意味合いでも重要です。.

 

 腰椎椎間関節は腰椎後方の左右に位置し,前方の椎間板の動きを制御しています.腰を曲げると椎間板を軸にして椎間関節は拡大するため,過大な力が加わると痛みの原因となります.

 

 

腰椎椎間関節症の症状

 ぎっくり腰と同様,腰から殿部にかけての痛みを主症状とします.関連痛として大腿部の外側に痛みやしびれ感」が出ることもあります。下腿の症状(足のしびれや神経痛,筋力低下)を伴うことはまれです。

特徴      

椎間関節性腰痛には以下のような症状がみられます。いくつか当てはまるようでしたらこの疾患の可能性があります。

 

腰を前に曲げるより後ろにそらしたほうが痛い。  

痛みの性質は鋭い痛みである。

お尻や太ももの外側に  しびれや関連痛を感じる。           

体をひねる動作でいたい        

腰椎の棘突起より2-3センチ外側に痛みがある。       

中年以上の年齢である。    

 

 

 

原因と病態

 腰椎椎間関節は腰椎後方の左右に位置し,前方の椎間板の動きを制御しています.

 *腰を曲げると椎間関節は拡大するため,過大な力が加わると関節包が引き伸ばされて,痛みの原因となります.

 *逆に腰を無理に伸ばそうとしたり,捻ったりすると関節包の滑膜を挟み込まれたり軟骨の変性が起こったりで痛みを生じます.

椎間関節症のMRI画像(腰椎横断像)
   上図の腰椎横断面のMRI画像では赤矢印で示した線状の部位が椎間関節です.

MRI(T2画像)では水分の多い部分が白く描出されます. 反対側と比べて関節の中が白くなっているのは関節に水がたまっていると考えられます。

 

 もちろん,重労働や加齢現象などでレントゲンで確認できるほど,変形をきたしている場合もあり,この場合は慢性腰痛の原因となります.

 

腰椎椎間関節症の診断

 腰椎椎間関節症の診断は同部位の圧痛やレントゲン,MRIなどで診断します.

 

治療

 

保存療法:初期は安静を行い,薬物療法を処方する。

 

徒手療法:椎間関節の除圧をするために椎間関節を緩める方法があります。

     AKA博多法も有効です。

 

椎間関節ブロック

椎間関節ブロックとは脊椎椎間関節に局所麻酔薬とステロイド薬の混合液を注入するブロック法です。このブロックは椎間関節痛の原因となっている部位が診断できるほか、痛みの緩和が得られます。椎間関節ブロックは,椎間関節由来痛に対して有用な診断法である.後枝内側枝ブロックはステロイド薬の有無にかかわらず有効です。

 この治療法で効果が短時間の場合には神経焼却術を行うと効果が持続します。

 

運動療法

椎間関節症の治療では脊椎の前弯を緩める方法が採用されます。また脊椎多裂筋などのインナ-マッスルの強化が必要です。

 

背部の脊柱起立筋を緩める。ジャックナイフストレッチを参照

「ジャックナイフ...」の画像検索結果

腸腰筋を緩める。

大腿直筋、縫工筋(ほうこうきん)を緩める。

多裂筋の機能不全を解消する。

背骨の前弯を弱め、骨盤を後傾させる筋群のトレーニングを実践する