踵骨骨端症

 

■ どのような障害か
運動の後や、朝起きた時などにかかとの骨(踵骨:しょうこつ)の後方に痛みを生じる障害です。急に強く痛むというよりはジーンとするような慢性の痛みが特徴です。
悪化すると痛みのためにかかとを地面につけられず、つま先立ちで歩くようになります
別名Sever(シーバー)病とも呼ばれています。
10歳前後の活発な男子に多く起こり、女子の2倍の頻度でこの障害が認められます。通常、片側の足に起こることが多いですが、稀に両足とも起こる場合があります。

■ なぜ起こるのか

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図のように踵骨にはアキレス腱や足底筋膜が付着しています。
ラ ンニングやジャンプ動作などの際に、かかとの軟骨部がアキレス腱や足底筋膜によって牽引されるこ とによって炎症が起こり、痛みを引き起こすのが原因とされています。時には打撲などの外傷がきっかけとなって発生する場合もあります。
また、偏平足の場合もかかとに負担がかかりやすくなる傾向があり、踵骨骨端症の約80%の人に、この偏平足があるといわれています。
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■ どうしたら治るのか
踵骨骨端症の治療には以下のようなことが有効です。
① 歩くだけでも痛みがある場合には運動を休止する。
② 運動時のみ痛む場合には運動の頻度および強度を抑え、出来るだけ足を安静に保つ。
③ 硬いコンクリートの上を走ることは避け、芝生や土の上を走るようにする。
④ 運動後にはアイスマッサージをしてかかとの周囲を冷やす。
⑤ お風呂でよくあたため、就寝前にかかとに湿布を張り炎症を抑える。
⑥ ふくらはぎやすねの筋肉、アキレス腱をストレッチで柔らかくする。
⑦ 出来るだけ柔らかい靴底のシューズを使用する。
※数週間、様子をみて症状が改善されないようであれば以下のような処置をします。
⑧ 柔らかい素材でできたパットでかかとを覆い保護する。(ヒールパット)
⑨ 偏平足がある場合には、土踏まずを持ち上げるような靴の中敷きを使用し、かかとにかかる負担を軽減させる。(アーチサポート

診察は圧痛点や痛みの局在、荷重位での足の変形などを調べます。
荷重位のX線(レントゲン)撮影をすると扁平足障害などの診断が可能です。

主に痛みの部位によって
診断が決まります。

  • ①種子骨障害
  • ②外脛骨障害
  • ③足底腱膜炎
  • ④踵骨々端症
  • ⑤踵骨滑液包炎

 

予防と治療

治療

スポーツでいったん障害が発症したら、練習量を減らすか、一定期間の休養が必要です。
これに加えてアイスマッサージや温浴・低周波、塗布薬などの鎮痛消炎剤の使用、ステロイド剤の局所注射、足底装具の使用などの理学療法、などの対処法があります。

予防

発生要因をよく考え、その要因を取り除くことが大切です。

  • ①足部および下腿筋のストレッチング
  • ②スポーツ後のアイシングの励行
  • ③足にフィットしたシューズの選択
  • ④足底装具の使用