関節リウマチ

 

発症初期には滑膜炎による関節の腫脹、疼痛が主体であり、次第に全身の関節に病変が進行して関節の疼痛動揺性が進行して、関節の疼痛変形、動揺性が進行して機能障害をきたす。関節リウマチの患者の約10%に神経症に伴う痛みを認める。

成因

  原因不明の免疫異常反応により全身の滑膜に炎症が生じ、徐々に軟骨、骨へと炎症が波及し、関節が破    

  壊・変形することによって全身に痛みが生じる。

 

痛みの特徴  

 

 

治療薬   

   関節破壊のない早期に診断し疾患粧飾性抗リウマチ薬をいかに応用するかがRA治療の鍵となる。

 

 

DMARDsの特徴古くからは謹製材から始まり現在ではMTXがその中心となっている。特徴は効果発現まで2~3ヶ月かかることが多く、各薬剤で効果発現時間が異なる .効果のある患者とない患者が存在し、効果のある患者でも長くふくようすると効果が減弱する。サラぞスルファピリジン,ブシラミンで2~3年MTXで5年で半数の患者の効果が減弱する。

 副作用の多いものは皮疹と消化管障害 。どの薬も3ヶ月間は2週ごとに診察が推奨される。

 投与初期のアレルギ-反応や肝機能障害血球減少を見逃さないようにする。

 

DMARDsは免疫長節約と免疫抑制薬とに分けることが出来る。

 

1免疫調整役 

  サラゾスルファピリジン:比較的早期で低~中疾患活動性の症例が良い適応。日本での承認量は1日1グラムである。  肝 代謝であり   

 

リウマチの血液検査

 1 リウマチ因子、この数字と重症度はかなり比例し重症度が高いほど高い。

  治療が効けば下がってくる

  リウマチでも5%以下は陰性、

 

 2 CRP

 炎症の強さを表す。0.5以下に抑えるのが目標

 数字より痛み腫れが問題

 3 CCCp抗体、抗リウマチの診断基準に満たない患者さんでも早期に診断確定できる。これが陽性で関節症状がある一定期間続くようであればMTXを開始する。

 4血球WBC,RBC,Hb,HtPlt

 5肝臓<ALT、AST

 6腎臓BUN,Cr

 7かびの感染ベ-タ-Dグルカン

 8肺の炎症、KL-6リウマチ性肺疾患、間質性肺炎で高くなることがある。

 9結核肺のレントゲン、ツベルクリン反応

 10ウイルス性肝炎

B型肝炎。c型肝炎

 

 

治療薬 リウマチの治療は、滑膜炎を極力抑えることにより関節の壊れを防ぎ、関節の 動きや日常の生活動作を維持することです。そのため、リウマチと診断されたら、 なるべく早期に抗リウマチ薬という薬で治療をはじめます。抗リウマチ薬には、 直接炎症や痛みを抑える作用はありませんが、リウマチの免疫異常を調整した り抑制することにより滑膜炎を抑える働きがあります。
 「寛解」という炎症が限りなく低い状態まで改善すると、関節の軟骨や骨の壊 れが止まり、リウマチの進行が止まります。もし、1種類の抗リウマチ薬で効 果が不十分な場合は、複数の抗リウマチ薬を組み合わせて使ったり、生物学的 製剤を加えて治療をします

メトトレキサート(リウマトレックス)

メトトレキサートは、現在、関節リウマチの治療の中心として位置付けられています。
米国では、関節リウマチと診断された場合に、第1選択として使用することが推奨されています。このように積極的にメトトレキサートが使用されるのは、理由があります。

  1. 関節の炎症(痛み・腫れ)を抑える効果が高い
  2. 関節が壊れていくのを、防ぐ効果がある
  3. 長期にわたって使用していても、効果が鈍くなってくることが、他の薬より少ない
  4. 効果が鈍くなった場合でも、量を増やせば、もとどおりの効果が得られることが多い
  5. 以上のような利点がある割には、重大な副作用が起こることが少ない数々の比較試験の結果をみても、メトトレキサートの効果をしのぐ薬剤は、既存の(生物学的製剤を除く)抗リウマチ薬のなかにはありません。メトトレキサートはリウマチ治療のスタンダードとなっています。新たなリウマチの治療は、メトトレキサートに比べてどうか、で評価されます。
生物学的製剤とメトトレキサート

 

レミケードの場合は、その効果を維持し、かつ高めるためにメトトレキサートの併用が義務づけられています。また、その他の生物製剤でも、メトトレキサートと併用することで、よりよい効果が得られることが報告されています。

  1. 他の抗リウマチ薬より有効もしくは同等といっても、4割程度の患者さんには効果がない。
  2. 効果が出るのが、他のリウマチ薬より早いとはいっても、4週間程度はかかる(この間は他の手段で、痛みを和らげなければならない)。
  3. 副作用のうちで、骨髄抑制(血液中の白血球、赤血球、血小板が減ってしまうこと)や間質性肺炎(肺の壁の部分が線維成分で置き換わり、酸素が通らなくなる肺炎)は、重症化することがある。
  4. ご高齢の方や、腎臓の働きの弱っている人には使いにくい(副作用の危険性が高まる)。

 

 

副作用については、後ほど詳しくふれますが、次のような症状がでたときには、メトトレキサートの服用を中止して、速やかに主治医に連絡を取り、指示に従ってください。

  1. 発熱
  2. 咳(特に痰をともなわない咳)、息切れ、呼吸困難などの呼吸器症状
  3. 口内炎
  4. 体のだるさ、眠気

効能・効果

以下では、このメトトレキサートを安全に、かつ効果的に使用するための注意点につき、ご説明していきます。

関節リウマチに使用されます(保険適応はリウマトレックスのみ)。2番手以降の薬剤として使われることが多かったのですが、現在では、高い効果の期待できるメトトレキサートを最初から使って、早い段階で病気の勢いを止めよう、という治療方針が広まってきています。

それでも、治療効果が現れてくるのは、使用開始後4週間から8週間くらいになります。服用を開始したらすぐに効果が実感できるというものではありません。1年間の使用で、患者さんの約60%で、関節の腫れや痛みが和らぎ、運動機能が改善したという報告があります。また、関節破壊の進行を遅らせる効果も確認されています。

 

用法・用量

通常の使い方

通常成人の場合、1週間に4~8mgを服用します。リウマトレックスで2~4カプセルになります。一般的には、2~3回に分けて、半日ごとに、食後服用します。具体的な服用方法については、医師・薬剤師の指示に従ってください。

関節リウマチ以外の膠原病に使用される場合も、原則として服用方法は同じです。

導入の仕方

1週間に4~6mgの量から開始して、効果や副作用をみながら、2~8週ごとに適当量まで増量していきます。少なめの量から始めたほうが、副作用が少ないといわれています。

葉酸補充

一部の副作用を予防・軽減する目的で葉酸製剤「フォリアミン」、または、活性型葉酸製剤「ロイコボリン」を追加することがあります。当院では、原則としてフォリアミン錠1錠を、リウマトレックスの最終服薬の24時間後、もしくは48時間後に服用していただいています。具体的な服用方法については、医師・薬剤師の指示に従ってください。葉酸製剤の補充によって予防・軽減できる副作用には以下のようなものがあります。

  1. 口内炎
  2. 腹痛などの消化器症状
  3. 骨髄抑制
  4. 肝臓障害
用量をめぐる問題点

さきほど、用量は1週間に4~8mgと申し上げましたが、実際には、この量では十分に病気の勢いを抑えられないことがあります。体格の違いなどで単純比較はできませんが、欧米では1週間に7.5~25mgが使用されています。

メトトレキサートは、用量が増えるほど、効果も強くなります。また、効きがにぶくなってきた場合には、増量によって、再び有効になることがあります。これらの理由により、副作用に留意した上で、8mgを越えた量が使われることがあります。

 

1) メトトレキサート(Methotrexate, MTX)は関節リウマチの治療で最も使われているお薬です。

2) メトトレキサートを内服することにより関節の痛みと腫れが引き、長期的には関節の破壊が予防されます。

3) メトトレキサートの重篤な副作用として骨髄抑制(白血球、赤血球、血小板が減少すること)、間質性肺炎などがあり、注意が必要です。熱や咳など、風邪の様な症状が出た場合、風邪薬を内服して3日経っても改善しなければ来院してください。ひどい口内炎(食べられなくなるほど)が起きたときもすぐに来院してください。

4) メトトレキサート内服中には妊娠、授乳は禁止です。

 

 

メカニズム

メトトレキサートは免疫に関係するいくつかの酵素を阻害することが知られています。この効果は活発に分裂する細胞、例えば皮膚細胞、血球細胞、消化管の細胞、免疫細胞などで高いことが判明しています。しかしメトトレキサートがどのように関節炎を改善するかは完全には分かってはいません。

内服の方法は?

週に1-3度だけ内服します。例えば月曜日の朝と夕方だけという様に。関節リウマチに対して、成人では通常週に6-8mgで開始し、副作用が起きなければ週に16mgまで増量します。それより多く処方されることもあります。

効果発現までの期間

症状改善は内服開始後1-2ヶ月で出始めることが多く、最大効果発現には4ヶ月かかることもあります。

副作用

メトトレキサートでもっとも良くある副作用は嘔気、嘔吐、肝機能障害(肝臓の荒れ)です。これらの副作用は内服量が多いほどおこりやすいことが知られています。口内炎、皮疹、下痢、なども認められます。肝障害については肝硬変にまで至ることはまれです。ビタミンの一種である葉酸(フォリアミン)をメトトレキサート内服の翌日か翌々日に内服することにより肝障害は軽減することが知られています。

肺障害も起こりえます。時に重篤となりうる副作用で、元々肺の機能の悪い方、腎臓の機能の悪い方、糖尿病、高齢の方などに頻度が高いことが知られています。咳が続いたり息切れがしたりした場合には担当医にお知らせください。

脱毛が起きることもありますが、内服中止でまた生えてきます。また、このお薬は紫外線への感受性を高めますので、日焼け止めを使用することが望ましいです。

多くの患者さんは以上の様な副作用を全く経験することなく治療を続けておられますし、副作用がでる方も、続けている間に次第に副作用が軽くなることが良く経験されます。

妊娠希望の方においては、少なくとも3ヶ月は内服を中断してください。メトトレキサートは妊娠中も内服は禁止ですが、将来の妊娠の可能性を妨げるものではありません。

覚えておいていただきたいこと

メトトレキサートは指示された通りに内服してください。このお薬は一般的には週に1-2日だけ内服することになります。また、副作用軽減目的にフォリアミン(葉酸というビタミン)を処方されることも多いです。フォリアミンはメトトレキサート内服の1-2日後に内服することになります。メトトレキサートの副作用をチェックするために、血液検査を1-3ヶ月毎にすることも重要です。

もし内服を忘れてしまったら、スキップして次の週まで内服しないで下さい。風邪などで具合が悪くてご飯が食べられないときにも、スキップしてください。手術をするときには、担当医と相談してください。メトトレキサートを中止しても、すぐには関節リウマチは悪くなりませんが、しばらく(2-8週)してからまた関節リウマチが悪くなってくる可能性があります。

アルコールをのむと、メトトレキサートの肝障害が発生しやすくなるかもしれません。ですから特に最初、メトトレキサートの量が決まるまでは、アルコールを控えることをお勧めします。

メトトレキサートを使用中には避けるべきワクチン接種があります。インフルエンザワクチンや肺炎球菌ワクチンは問題ありません。これら以外のワクチン接種前には担当医に確認してください。

お薬の相互作用について

担当医には処方されているお薬や薬局で買った薬、漢方薬、ダイエット用薬品など、内服しているお薬すべてを話すようにしてください。バクタ(抗生剤)や非ステロイド性消炎鎮痛剤(ロキソニンやボルタレンなどの痛み止め)を新たに始めると、メトトレキサートの血中濃度が高まって副作用が出てしまうことがあります。

  • 関節の腫脹はゼロ、痛みはたまに軽くある程度
  • 家事はもちろんのこと、ジョギング・テニス・ゴルフなどのスポーツや旅行・山歩きが普通の人とかわらずにできる

 

というのが私たちの第一に目差す治療目標ラインです。

 

「寛解」という専門用語におきかえてもいいでしょう。

 

ですから、リウマチ性の痛みや腫れが続く場合、たとえCRPが低くてもMTXを増量します。

 

(もちろん強い副作用が出現すればそれがMTX投与量上限になります。)

 

そのかわり、副作用のチェックは厳しくおこなっていきます。

安心してください。

 

MTXの副作用について

 

シオゾールなどの今までによく使われた抗リウマチ剤と比較して、むしろ副作用は少ないといえます。

 

ただし、間質性肺炎(レントゲンで肺が白くなる)や白血球減少など危険な副作用が稀に起こるので注意が必要なのです。正しい服用法とチェックを怠らず、早めに対処すれば大事にはいたりません。

 

投与開始前に胸部レントゲンをチェックします。

 

また、投与開始後は3~4週後に血液検査をして副作用のチェックとCRPの下がり具合をみます。安定してくれば採血は1-2ヶ月おきに減らします。

 

咳や発熱、息苦しい、ひどい全身倦怠感などの症状が出たときは次の受診日を待たず、すぐに受診し、胸部レントゲンのチェックと血液検査を受けてください。

 

他によくある副作用は、胃腸障害・口内炎・のどなど粘膜が荒れる・空咳・息苦しい・倦怠感・髪を洗ったとき毛が抜けやすい・内出血しやすい・生理の出血が止まりにくい・肝機能の数字の上昇などがあります。

 

これらの副作用は反面、体内で薬剤が良く作用している(濃度がよく上がっている)というサインにもなりますから、軽症であればあまり心配する必要はありません。

 

副作用を抑えるために葉酸(商品名フォリアミン)というビタミン剤を服用してもらいます。

 

MTXと一緒に飲むと、抗リウマチ作用を減弱させてしまいます。

 

本院では、MTXを服用する日の前日と翌日に1錠(5mg)ずつ服用していただいています。

 

メトトレキサートの飲みかたの注意

 

 

 

お薬の性質をよく理解していれば、次のように飲み方は個人にあわせて多少アレンジしていいのです。

 

飲み忘れにくい曜日に変更してもかまいません。

 

曜日は厳密なものではありませんから、飲み忘れたら次の日に飲めばいいのです。

 

一週間のあいだに飲む量が一定していればいいのです。

 

一応朝食後としてありますが、朝昼夕食後のいずれでも、1回で飲んでも、2回にわけてもかまいません。

 

 

メトトレキサートの市販後に認められた主な副作用

分類 事象名 頻度
主な副作用 肝機能障害、口内炎、倦怠感、嘔気、発疹 1-10%
重篤な副作用 ショック、アナフィラキシー様症状 頻度不明
  骨髄抑制 <0.1-5%
  感染症 <0.1-5%
  結核 頻度不明
  劇症肝炎、肝不全 頻度不明
  急性腎不全、尿細管壊死、重症ネフロパチー 頻度不明
  間質性肺炎 <0.1-5%
  肺線維症 <0.1
  胸水 頻度不明
  中毒性表皮壊死融解症、皮膚粘膜眼症候群 頻度不明
  出血性腸炎、壊死性腸炎 頻度不明
  膵炎 <0.1
  骨粗鬆症 頻度不明
  脳症 頻度不明
過敏症 発疹、掻痒、発熱 <0.1-5%
  蕁麻疹 <0.1%
血液 好酸球増多 <0.1-5%
  出血 <0.1%
  低ガンマグロブリン血症、リンパ節腫脹 頻度不明
肝臓 肝機能障害 5%以上
  LDHの上昇 <0.1-5%
  黄疸、脂肪肝 頻度不明
腎臓 BUN上昇、血尿、クレアチニンの上昇、尿蛋白 <0.1-5%
消化管 嘔気、腹痛、下痢、口内炎、食欲不振、嘔吐、舌炎 <0.1-5%
  口唇腫脹、消化管潰瘍、出血 <0.1%
  メレナ、イレウス 頻度不明
皮膚 脱毛 <0.1-5%
  紅斑、皮下斑状出血、皮膚潰瘍 <0.1%
  光線過敏症、色素沈着、色素脱出、痤瘡、結節 頻度不明
精神神経系 頭痛、めまい <0.1-5%
  意識障害、眠気、目のかすれ、しびれ感、味覚異常 <0.1%
  項部緊張、背部痛、錯感覚 頻度不明
呼吸器 咳嗽、呼吸困難 <0.1-5%
生殖器 無精子症、卵巣機能不全、月経不全、流産 頻度不明
その他 倦怠感、動悸、胸部圧迫感、低蛋白血症、血清アルブミン減少、浮腫 <0.1-5%
  膀胱炎、結膜炎、関節痛 <0.1%
  耳下腺炎 頻度不明

使用上の注意と副作用

禁忌:次のような人には、メトトレキサートは使用できません
  1. 妊婦もしくは、妊娠している可能性のある人、授乳中の人
    胎児の形成障害を誘発する可能性があるので、妊娠時には使用できません。また、母乳の中にも移行しますので、授乳中の人にも使用できません。
  2. 以前にメトトレキサートを使ったときに、アレルギー症状がでたことがある人
    再びメトトレキサートを開始した場合には、同等あるいはより強い、アレルギー症状が出る可能性があります。
  3. 白血球や赤血球、血小板の数が、通常より少なく、これらを作る骨髄の働きが弱っていると考えられる人
    メトトレキサートは、骨髄の働きを、さらに弱らせてしまう可能性があります。
  4. 肝臓に慢性の病気がある人
    メトトレキサートによる肝臓への傷害が、起こりやすくなることが知られています。
  5. 腎臓の働きが弱っている人
    腎臓の働きが悪いと、メトトレキサートが身体の中に溜まってしまい、副作用の危険性が高まります。軽度の腎機能低下であれば、用量を減らして使用することもあります。
慎重投与:次のような人には、メトトレキサートを使用して
得られる利益と危険性を比較考慮したうえで、使用します
  1. 肺線維症(間質性肺炎)をおこしたことがある人
    肺線維症というのは、肺の壁(間質)が線維成分で置き換えられて、酸素が通りにくくなる病態です。とくに、病気の勢いが強いときに、間質性肺炎といいます。

    息切れや、咳といった症状であらわれます。肺線維症、間質性肺炎は、関節リウマチ自体の症状としても起こりますし、メトトレキサートの副作用としても起こります。メトトレキサートによる間質性肺炎を起こしたことのある人には、メトトレキサートの再使用はできません。

    しかし、関節リウマチによる間質性の肺病変の場合には、病変が軽度で、現在は落ち着いていれば、必要性に応じて、使用されることがあります。血液中のKL-6値や、胸部レントゲン、胸部CT、呼吸機能検査などで、肺の状態を評価しながら、慎重に使用していきます。
  2. 感染症(病原性を持つ微生物が体に侵入して、体を傷害すること)を合併している人
    メトトレキサートは、白血球の働きを弱めて、病原微生物に対する防衛能力を落としてしまう可能性があります。このため、感染症が悪化することがあります。特に、慢性の感染症(B型肝炎やC型肝炎など)のある人は、慎重にする必要があります。
  3. 非ステロイド性消炎鎮痛剤(いわゆる「痛み止め」、「熱さまし」)を服用中の人
    非ステロイド性消炎鎮痛剤は、メトトレキサートの作用を増強します(これは、副作用の発生率を増加させることにもなります)。関節リウマチの治療では、非ステロイド性消炎鎮痛剤を使わざるを得ない場合が多いので、注意しながら併用しているのが実状です。
  4. ひんぱんにアルコールを飲んでいる人
    アルコールを常飲する人(週に何日までOKかは、はっきりしていません)にメトトレキサートを使用すると、肝臓の障害が起こりやすいといわれています。
使用開始前の検査

以上のような注意が必要であるため、メトトレキサートを開始する前には、以下の検査を行うことが推奨されています。また、これらの検査は、使用開始後にも、適宜行われます。

  1. 赤血球、白血球、血小板数
  2. 肝機能検査
  3. 腎機能検査
  4. アルブミン(これが少ないとメトトレキサートの作用が増強されます)
  5. 胸部レントゲン、血清KL-6値
  6. B型肝炎、C型肝炎の検査
副作用

いろいろ述べますが、メトトレキサートの副作用発生率は、他の抗リウマチ薬と同程度です。メトトレキサートは、他の抗リウマチ薬に比べて、決して危険な薬ではありません。

  1. 吐き気・おなかの痛み・下痢・口内炎などの消化器症状
    メトトレキサートによって、口や消化管を保護する粘膜が傷害されることが原因です。
    対処法としては、メトトレキサートを減量することや、ステロイド軟膏、制酸剤等の胃薬の併用があります。
  2. かゆみ、発疹などの皮膚症状
    メトトレキサートによるアレルギー(過剰な免疫反応)症状です。原則として、メトトレキサートを中止します。
  3. 肝臓障害
    肝臓の検査項目GOT(AST)、GPT(ALT)などが上昇することがあります。検査の異常が主体であり、身体がだるくなるなどの肝臓の機能上の障害がでることは、めったにありません。
    メトトレキサートの減量で対処します(GPTの値が100程度までであれば、そのままでも、正常値にもどることもあります)。
  4. 骨髄抑制(白血球、赤血球、血小板が減ってしまうこと)
    白血球が減ると、風邪や肺炎などの感染症を起こしやすくなります。
    赤血球が減ると、だるさ、ふらつき、息切れが起こります。
    血小板が減ると、けがなどで出血したときに、血が止まりにくくなります。

    対処法としては、メトトレキサートの減量・中止が基本です。抑制の程度が強いときは、前述した活性型葉酸「ロイコボリン」を使って、メトトレキサートの作用を中和したり、骨髄を刺激する薬を使用したりします。場合によっては輸血を行うこともあります。
  5. 感染症(病原性を持つ微生物が体に侵入して、体を傷害すること。風邪や肺炎が代表的。)
    例をあげますと、ヘルペスウイルスの感染(水疱が特徴です)が重症化することがありますので、注意が必要です。また、風邪などもこじれやすい可能性があるので、発熱などの症状があるときは、軽視せずに医療機関を受診するようにしてください。
  6. 間質性肺炎、肺線維症
    前述しましたように、酸素の受け渡しを行う肺の間質の部分が線維成分で置き換わってしまうために、酸素不足になるという病態です。いったん線維成分で置き換わってしまうと、もとには戻りにくいので、早期発見に努めることが重要です。

    階段や坂道を上るなどの体動の後の息切れ、痰の出ない咳といった症状であらわれます。これらの症状が出た場合は、速やかに主治医に連絡を取るようにしてください。
    メトトレキサートを中止し、必要に応じてステロイド剤を使用します。
  7. 身体のだるさ
    メトトレキサートの服用日や、その翌日などに、身体がだるくなることがあります。メトトレキサートの減量、中止で対処します。
  8. 脱け毛
    メトトレキサートの減量・中止で対処します。
  9. その他
    悪性リンパ腫などの悪性腫瘍の危険が増すのでは、という指摘がありますが、現時点では確認されていません。

 

他の薬剤などとの相互作用

メトトレキサートの作用を増強するもの
  1. 非ステロイド性消炎鎮痛剤
    作用を増強するというのは、効果を高めるだけでなく、副作用の危険性を増加させることを意味します。関節リウマチの治療では、非ステロイド性消炎鎮痛剤を使わざるを得ない場合が多く、注意を払いながら併用します。
  2. ST合剤(薬剤名「バクタ」、「バクトラミン」)
    レミケードを使用している場合に、カリニ肺炎を予防する目的で使用されることがあります。葉酸製剤を併用していれば、あまり危険はないことがわかってきています。
  3. テトラサイクリン(「テラマイシン」など)・抗けいれん剤(「アレビアチン」、「ヒダントール」など)・睡眠薬(バルビタール酸系といわれるもの)
    相互作用は軽度です。
メトトレキサートの作用を弱くするもの

注意が必要なのは、健康食品、サプリメントの中に含まれている葉酸です。葉酸は、先に述べましたように、副作用を減らす目的にも使用されますが、量が多いと、メトトレキサートが効きにくくなる可能性があります。健康食品などを使用中の方は、主治医にご相談ください。

「リウマトレックス」と「メソトレキセート」は、どちらもメトトレキサートという薬剤の商品名です。ただし、含まれている薬剤の量と、保険適応となる疾患が異なります。

本稿では、メトトレキサートという呼び方でまとめて、ご説明をさせていただきます。

 

メトトレキサートは関節リウマチ治療のスタンダード

メトトレキサートは、現在、関節リウマチの治療の中心として位置付けられています。
米国では、関節リウマチと診断された場合に、第1選択として使用することが推奨されています。このように積極的にメトトレキサートが使用されるのは、理由があります。

  1. 関節の炎症(痛み・腫れ)を抑える効果が高い
  2. 関節が壊れていくのを、防ぐ効果がある
  3. 長期にわたって使用していても、効果が鈍くなってくることが、他の薬より少ない
  4. 効果が鈍くなった場合でも、量を増やせば、もとどおりの効果が得られることが多い
  5. 以上のような利点がある割には、重大な副作用が起こることが少ない数々の比較試験の結果をみても、メトトレキサートの効果をしのぐ薬剤は、既存の(生物学的製剤を除く)抗リウマチ薬のなかにはありません。メトトレキサートはリウマチ治療のスタンダードとなっています。新たなリウマチの治療は、メトトレキサートに比べてどうか、で評価されます。

生物学的製剤

レミケードの場合は、その効果を維持し、かつ高めるためにメトトレキサートの併用が義務づけられています。また、その他の生物製剤でも、メトトレキサートと併用することで、よりよい効果が得られることが報告されています。

メトトレキサートを使用するに当たっての注意点他の抗リウマチ薬より有効もしくは同等といっても、4割程度の患者さんには効果がない。
  1. 効果が出るのが、他のリウマチ薬より早いとはいっても、4週間程度はかかる(この間は他の手段で、痛みを和らげなければならない)。
  2. 副作用のうちで、骨髄抑制(血液中の白血球、赤血球、血小板が減ってしまうこと)や間質性肺炎(肺の壁の部分が線維成分で置き換わり、酸素が通らなくなる肺炎)は、重症化することがある。
  3. ご高齢の方や、腎臓の働きの弱っている人には使いにくい(副作用の危険性が高まる)。
メトトレキサート使用時の注意すべき徴候

副作用については、後ほど詳しくふれますが、次のような症状がでたときには、メトトレキサートの服用を中止して、速やかに主治医に連絡を取り、指示に従ってください。

  1. 発熱
  2. 咳(特に痰をともなわない咳)、息切れ、呼吸困難などの呼吸器症状
  3. 口内炎
  4. 体のだるさ、眠気

 

効能・効果

以下では、このメトトレキサートを安全に、かつ効果的に使用するための注意点につき、ご説明していきます。

関節リウマチに使用されます(保険適応はリウマトレックスのみ)。2番手以降の薬剤として使われることが多かったのですが、現在では、高い効果の期待できるメトトレキサートを最初から使って、早い段階で病気の勢いを止めよう、という治療方針が広まってきています。

それでも、治療効果が現れてくるのは、使用開始後4週間から8週間くらいになります。服用を開始したらすぐに効果が実感できるというものではありません。1年間の使用で、患者さんの約60%で、関節の腫れや痛みが和らぎ、運動機能が改善したという報告があります。また、関節破壊の進行を遅らせる効果も確認されています。

 

用法・用量

通常の使い方

通常成人の場合、1週間に4~8mgを服用します。リウマトレックスで2~4カプセルになります。一般的には、2~3回に分けて、半日ごとに、食後服用します。具体的な服用方法については、医師・薬剤師の指示に従ってください。

関節リウマチ以外の膠原病に使用される場合も、原則として服用方法は同じです。

導入の仕方

1週間に4~6mgの量から開始して、効果や副作用をみながら、2~8週ごとに適当量まで増量していきます。少なめの量から始めたほうが、副作用が少ないといわれています。

葉酸補充

一部の副作用を予防・軽減する目的で葉酸製剤「フォリアミン」、または、活性型葉酸製剤「ロイコボリン」を追加することがあります。当院では、原則としてフォリアミン錠1錠を、リウマトレックスの最終服薬の24時間後、もしくは48時間後に服用していただいています。具体的な服用方法については、医師・薬剤師の指示に従ってください。葉酸製剤の補充によって予防・軽減できる副作用には以下のようなものがあります。

  1. 口内炎
  2. 腹痛などの消化器症状
  3. 骨髄抑制
  4. 肝臓障害
用量をめぐる問題点

さきほど、用量は1週間に4~8mgと申し上げましたが、実際には、この量では十分に病気の勢いを抑えられないことがあります。体格の違いなどで単純比較はできませんが、欧米では1週間に7.5~25mgが使用されています。

メトトレキサートは、用量が増えるほど、効果も強くなります。また、効きがにぶくなってきた場合には、増量によって、再び有効になることがあります。これらの理由により、副作用に留意した上で、8mgを越えた量が使われることがあります。

 

使用上の注意と副作用

禁忌:次のような人には、メトトレキサートは使用できません
  1. 妊婦もしくは、妊娠している可能性のある人、授乳中の人
    胎児の形成障害を誘発する可能性があるので、妊娠時には使用できません。また、母乳の中にも移行しますので、授乳中の人にも使用できません。
  2. 以前にメトトレキサートを使ったときに、アレルギー症状がでたことがある人
    再びメトトレキサートを開始した場合には、同等あるいはより強い、アレルギー症状が出る可能性があります。
  3. 白血球や赤血球、血小板の数が、通常より少なく、これらを作る骨髄の働きが弱っていると考えられる人
    メトトレキサートは、骨髄の働きを、さらに弱らせてしまう可能性があります。
  4. 肝臓に慢性の病気がある人
    メトトレキサートによる肝臓への傷害が、起こりやすくなることが知られています。
  5. 腎臓の働きが弱っている人
    腎臓の働きが悪いと、メトトレキサートが身体の中に溜まってしまい、副作用の危険性が高まります。軽度の腎機能低下であれば、用量を減らして使用することもあります。
慎重投与:次のような人には、メトトレキサートを使用して
得られる利益と危険性を比較考慮したうえで、使用します
  1. 肺線維症(間質性肺炎)をおこしたことがある人
    肺線維症というのは、肺の壁(間質)が線維成分で置き換えられて、酸素が通りにくくなる病態です。とくに、病気の勢いが強いときに、間質性肺炎といいます。

    息切れや、咳といった症状であらわれます。肺線維症、間質性肺炎は、関節リウマチ自体の症状としても起こりますし、メトトレキサートの副作用としても起こります。メトトレキサートによる間質性肺炎を起こしたことのある人には、メトトレキサートの再使用はできません。

    しかし、関節リウマチによる間質性の肺病変の場合には、病変が軽度で、現在は落ち着いていれば、必要性に応じて、使用されることがあります。血液中のKL-6値や、胸部レントゲン、胸部CT、呼吸機能検査などで、肺の状態を評価しながら、慎重に使用していきます。
  2. 感染症(病原性を持つ微生物が体に侵入して、体を傷害すること)を合併している人
    メトトレキサートは、白血球の働きを弱めて、病原微生物に対する防衛能力を落としてしまう可能性があります。このため、感染症が悪化することがあります。特に、慢性の感染症(B型肝炎やC型肝炎など)のある人は、慎重にする必要があります。
  3. 非ステロイド性消炎鎮痛剤(いわゆる「痛み止め」、「熱さまし」)を服用中の人
    非ステロイド性消炎鎮痛剤は、メトトレキサートの作用を増強します(これは、副作用の発生率を増加させることにもなります)。関節リウマチの治療では、非ステロイド性消炎鎮痛剤を使わざるを得ない場合が多いので、注意しながら併用しているのが実状です。
  4. ひんぱんにアルコールを飲んでいる人
    アルコールを常飲する人(週に何日までOKかは、はっきりしていません)にメトトレキサートを使用すると、肝臓の障害が起こりやすいといわれています。
使用開始前の検査

以上のような注意が必要であるため、メトトレキサートを開始する前には、以下の検査を行うことが推奨されています。また、これらの検査は、使用開始後にも、適宜行われます。

  1. 赤血球、白血球、血小板数
  2. 肝機能検査
  3. 腎機能検査
  4. アルブミン(これが少ないとメトトレキサートの作用が増強されます)
  5. 胸部レントゲン、血清KL-6値
  6. B型肝炎、C型肝炎の検査
副作用

いろいろ述べますが、メトトレキサートの副作用発生率は、他の抗リウマチ薬と同程度です。メトトレキサートは、他の抗リウマチ薬に比べて、決して危険な薬ではありません。

  1. 吐き気・おなかの痛み・下痢・口内炎などの消化器症状
    メトトレキサートによって、口や消化管を保護する粘膜が傷害されることが原因です。
    対処法としては、メトトレキサートを減量することや、ステロイド軟膏、制酸剤等の胃薬の併用があります。
  2. かゆみ、発疹などの皮膚症状
    メトトレキサートによるアレルギー(過剰な免疫反応)症状です。原則として、メトトレキサートを中止します。
  3. 肝臓障害
    肝臓の検査項目GOT(AST)、GPT(ALT)などが上昇することがあります。検査の異常が主体であり、身体がだるくなるなどの肝臓の機能上の障害がでることは、めったにありません。
    メトトレキサートの減量で対処します(GPTの値が100程度までであれば、そのままでも、正常値にもどることもあります)。
  4. 骨髄抑制(白血球、赤血球、血小板が減ってしまうこと)
    白血球が減ると、風邪や肺炎などの感染症を起こしやすくなります。
    赤血球が減ると、だるさ、ふらつき、息切れが起こります。
    血小板が減ると、けがなどで出血したときに、血が止まりにくくなります。

    対処法としては、メトトレキサートの減量・中止が基本です。抑制の程度が強いときは、前述した活性型葉酸「ロイコボリン」を使って、メトトレキサートの作用を中和したり、骨髄を刺激する薬を使用したりします。場合によっては輸血を行うこともあります。
  5. 感染症(病原性を持つ微生物が体に侵入して、体を傷害すること。風邪や肺炎が代表的。)
    例をあげますと、ヘルペスウイルスの感染(水疱が特徴です)が重症化することがありますので、注意が必要です。また、風邪などもこじれやすい可能性があるので、発熱などの症状があるときは、軽視せずに医療機関を受診するようにしてください。
  6. 間質性肺炎、肺線維症
    前述しましたように、酸素の受け渡しを行う肺の間質の部分が線維成分で置き換わってしまうために、酸素不足になるという病態です。いったん線維成分で置き換わってしまうと、もとには戻りにくいので、早期発見に努めることが重要です。

    階段や坂道を上るなどの体動の後の息切れ、痰の出ない咳といった症状であらわれます。これらの症状が出た場合は、速やかに主治医に連絡を取るようにしてください。
    メトトレキサートを中止し、必要に応じてステロイド剤を使用します。
  7. 身体のだるさ
    メトトレキサートの服用日や、その翌日などに、身体がだるくなることがあります。メトトレキサートの減量、中止で対処します。
  8. 脱け毛
    メトトレキサートの減量・中止で対処します。
  9. その他
    悪性リンパ腫などの悪性腫瘍の危険が増すのでは、という指摘がありますが、現時点

他の薬剤などとの相互作用

メトトレキサートの作用を増強するもの
  1. 非ステロイド性消炎鎮痛剤
    作用を増強するというのは、効果を高めるだけでなく、副作用の危険性を増加させることを意味します。関節リウマチの治療では、非ステロイド性消炎鎮痛剤を使わざるを得ない場合が多く、注意を払いながら併用します。
  2. ST合剤(薬剤名「バクタ」、「バクトラミン」)
    レミケードを使用している場合に、カリニ肺炎を予防する目的で使用されることがあります。葉酸製剤を併用していれば、あまり危険はないことがわかってきています。
  3. テトラサイクリン(「テラマイシン」など)・抗けいれん剤(「アレビアチン」、「ヒダントール」など)・睡眠薬(バルビタール酸系といわれるもの)
    相互作用は軽度です。
メトトレキサートの作用を弱くするもの

注意が必要なのは、健康食品、サプリメントの中に含まれている葉酸です。葉酸は、先に述べましたように、副作用を減らす目的にも使用されますが、量が多いと、メトトレキサートが効きにくくなる可能性があります。

     

 

この薬剤を服用中に、風邪をひいたり、けがをして少し皮膚が膿んだりすることがありえるかと思います。風邪は、鼻腔・咽頭・喉頭・気管支の主にウイルス感染症です。このような場合は、その週にメトトレキサートを服用すべきかどうかの判断が必要になります。食事・睡眠が十分で、風邪の程度が軽い場合や治ってきている場合、皮膚の病変が軽い場合や拡大のない場合は、定期的なメトトレキサートを服用しても、感染症の治る経過に大きな問題を生じないことが多いかと思われます。

 

しかし、38℃以上など熱が高めである場合、咳がひどい場合、呼吸困難がある場合、感染部位が拡大傾向にある場合は、その週の内服をスキップし(服用しない)、風邪や気管支炎、皮膚炎の経過を慎重にみる、場合によっては肺炎を想定した抗生物質の治療を検討します。判断に迷われる場合は、次回外来を待たずに診察を受け、レントゲンや血液検査の必要性を判断し以下で使用薬を受けてください。もし経過が長びけば次週のメトトレキサートの内服もスキップすることもありえます。

 

このように、1、2週間(状況によってより長い)、メトトレキサートの内服をスキップすることは、問題ありません。

 

この考え方は、近年、関節リウマチでしばしば使用される生物学的製剤ではさらに重要で、感染症があるときは、風邪であっても、スキップすることを考えます。とくにもともと肺の病気がある場合(リウマチ性の肺合併症、肺気腫、COPD、肺線維症など)、高齢者、低体重などの栄養不良状態、糖尿病の合併では、さらに慎重に考える必要があります。

 

ステロイドも免疫を抑制するので、感染症を悪化させうる薬剤ですが、関節リウマチで使用される量が少なめであること(たいていはプレドニン5mg/日以下)、急に中止するとステロイド枯渇・不足となって、かえって全身状態が悪くなることもありますので、毎日の服用は続けていただいて、主治医と相談頂くのがよいと思います。

 

メトトレキサートの飲み方

 

この薬剤は、週のうち1日か2日を決めて内服し、残りの日は休薬します。関節リウマチや膠原病で使用される場合は、毎日の内服ではありませんので注意ください。1週間全体の量は、4mg~16mg、すなわち2~8錠(または2~8カプセル)となります。これを以下のパターンのいずれかにあてはめて服用します。

 

パターン 第一日 第二日 第三~七日
アサ ユウ アサ ユウ
なし なし なし なし
なし なし なし
なし なし
なし

 

定期的な検査が必要です

 

メトトレキサートを服用していると、肝機能障害、白血球減少、貧血、血小板減少が見られることがありますので、定期的な血液検査でチェックを行います。これらが見られた場合、減量することがあります。また口内炎など消化器症状がひどい場合も、メトトレキサートの濃度が高い場合があるので、減量を検討します。また、副作用を緩和する葉酸というビタミンの一種(商品名、フォリアミン)を2日ほど遅れて(上の表の第三日または第四日に)服用する対策をとる場合があります。

 

腎機能障害があると、メトトレキサートが体内に残りやすくなるので、少なめの量を投与することになります。血液のクレアチニンの値が上昇しているような、やや進行している腎機能障害の場合は、メトトレキサートをかなり少なめの量にするか、使用しない場合もあります。末期腎不全または人工透析中の場合は禁忌とされています。腎機能障害は、高齢、高血圧、糖尿病など多くの方に見られますので、注意が必要です。

 

B型肝炎の既往感染者では(B型肝炎は治ったので心配いらないといわれている場合でも)、B型肝炎ウイルスが再出現していないことを時々確認しますし、結核既往感染や濃厚接触者では、慎重な診察と場合によってはレントゲン検査や喀痰の検査で確認します。またメトトレキサート自体が肺障害をきたすことも稀にはあるので、風邪でもないのに咳や呼吸困難が持続する場合は、単純レントゲンやCTで検査します。

 

妊娠について、熱中症のとき

 

催奇形性がありえるので妊娠に際しては服用を中止する必要があります。男女とも計画的な妊娠の少なくとも3ヶ月前には服用を中止すること、さらに女性では服用の終了後少なくとも1回の月経周期を経ることが推奨されています。授乳時にも服用を避けるようにします。

 

脱水が著しい場合(夏季の熱中症など)は薬剤の濃度がかなり高くなりえるので、脱水状態が改善されるまでは服用を避けたほうがよいと思われます。とくに熱中症になりやすく腎機能の低下していることの多い高齢の方は注意が必要です。

 

 

 

◎免疫調整役

 

1.サラゾスルファピラジン1、比較的早期で低~中疾患活動性の症例が良い適応で用量依存的な効果が期待できるが、日本での承認容量は1グラム/と海外2^3グラムと比べて低用量である。

肝臓代謝罪であり副作用として

 消化器症状:肝機能障害んほか口内炎、下痢がおおく

  皮膚:皮疹

  血液: 血球減少症

       かんしつ肺炎は頻度が低い。

投与初期から2週間ごとに血液検査

サルチル酸が含まれているため気管支喘息の患者に注意が必要。                     

 

 

2ブシラミン

 

日本で開発されたSH製剤

比較的早期から低~中活動性の症例が良い適応、SASPと同様の効果がある。

300mgまで使用可能であるが副作用を考慮し199~200mg以下で使用

副作用

 皮疹、黄色爪症候群、

 蛋白尿

 味覚障害、胃腸障害,肝腎機能障害血球異常

 間質性肺炎

 

 

 

 小林整形外科宇部市  ホ-ムペ-ジ