頚肩腕症候群

 

 

 頚肩腕症候群は肩こり,頚部痛,肩甲部痛,腕の痛み,手のしびれなどの症状の総称(症候群)です.、首筋の違和感や肩から腕にかけての異常、痛み凝り、腫れなどの総称です。

これ全体を頸肩腕症候群と言って、現代病とも言われています。現代、パソコンやスマホなどの普及に伴い職業病とも言われており増加の傾向があります。

これは検査で原因が明らかになる病気とは別物です。

長時間同じ姿勢を保つことによって血流が悪くなり筋肉は柔軟性がなくなります。筋肉が萎縮していくと疲労物質が蓄積され頸肩腕症候群となるわけです。

俗に肩こりやそれに起因した腕や首筋にかけての痛み、しびれ、凝り、腫れなどがあるという定義となっています。産業衛生学では上肢を使う作業に準ずる頸部、首筋から肩にかけて、腕などの痛みや凝り、腫れ、または痺れなどの症状が現れる疾患を経験腕障害と定義しているようです。

肩こりの原因はさまざまですが,頚椎症、むち打ちや、肩関節周囲炎など,原因のある肩こりもあります.
 

肩頚腕症候群の症状

 頚肩腕症候群は肩こり,頚部痛,肩甲部痛、凝り,腕の痛み,手指のしびれなどの症状の総称(症候群)です.

首の筋肉や肩、上腕などの筋肉が腫れて固くなって痛み、血流が悪くなることによって悪化し、神経が圧迫され痺れが出ます。

さらに病状が進行すると神経の圧迫により感覚障害が生じ運動機能障害へと至ります。この神経の圧迫が首筋から腕にかけてだけでなく、重症化することによって目の疲れ、視力の影響や風邪症状なども現れることがわかっています。

 重度になると不眠や頭痛,めまい,脱力,吐き気,食欲不振などの自律神経失調症にも似た症状を起こします. 初期症状、これを放置し、悪化させることによって重症化症状がみられてきます。

代表的な二次症状として、頭痛や耳鳴り、目のかすみや視力への影響、目の疲れ、集中力が続かない、または集中できないなどの神経症状が現れます。さらには不安による精神の不安定が原因で、鬱症状や睡眠障害など出始めることがあります。

 

またそれ以外にも、血流の圧迫や循環の低下により手足の先が冷える症状「レイノー現象」や、それに似た病気である冷え性なども発症する可能性もあります。

血の巡り、つまり循環がうまく行われず阻害されることによって身体の様々な部分に大きな影響を及ぼすということがわかると思います

肩頚腕症候群の原因と病態

 パソコンなどの長時間の使用,特にノートパソコンの場合,モニターとキーボードが調節できず,体を機械にあわせなければいけないので,顎を前に突き出した,窮屈な姿勢になりがちです.頚肩腕症候群ではパソコンの作業など、デスクワークを行う仕事では多く見られる現象であることがわかっています。同じ姿勢で長時間の作業を余儀なくされる場合が問題となります。

日頃の姿勢の悪さからも頸肩腕症候群は発症すると言っても過言ではありません。姿勢が悪い状態で日頃過ごしていることは頸肩腕症候群の発症のリスクを高めます。

 これは若い女性に多く見られ,筋肉疲労や頚椎のアライメント(配列)異常が一因と考えられています.これをストレ-トネックや頸椎前弯と言われます。詳しくは他の項で解説しています。
 肩頚腕症候群・肩こりの原因はさまざまですが,むちうち損傷や,頚椎椎間板ヘルニア,四十肩・五十肩など,原因のある肩こりもあります.

また睡眠時の姿勢の悪さや、枕の高さが合わないこと、寝返りがうまくできないことなどもこの原因になります。

筋肉の影響

体の冷えやすい人、またはもともと冷え性の人などもこの頸肩腕症候群になりやすいとわかっています。これは代謝や筋肉量に関係してくることで、筋肉の少ない人は低体温により体の熱を十分に保てないといわれます。筋肉には水分を貯留して蓄える働きも持っています。

 

またクーラーなどで冷える、などもこの頸肩腕症候群の大きな要因につながっています。

 

筋肉量を増やすということ、そして代謝を上げることにより体の体温を上げ、そして一定に保つことができるのです。運動をあまりしない人もまた同様に肩こりになりやすいと言えます。日頃から歩いたり運動をして筋肉の血流を保つようにしましょう。

肩頚腕症候群の診断と治療

 頚肩腕症候群の治療は,まず,その原因を明らかにすることが大切です.ひとまとめにされている肩こりですが,MRI検査等で原因を鑑別診断することで,適切な治療法による早期職場復帰が可能となります。

 初期症状で検査で体内部に異常が見られないにもかかわらず首筋から腕の凝り、痛みがある場合は頸肩腕症候群であると考えます。肩こりが主な場合は軽度のストレッチ法なども日常的に取り入れてみましょう。

 筋肉を増やすことで冷えの改善にも役立ち血流量をあげることができます。軽度の運動は体全体に良い効果が表れることで推奨されています。夕方の散歩やジョッギングはおすすめです。

 

 原因がはっきりしない場合は,痛みやしびれに対する対症療法が中心となります.理学療法、温熱療法やストレッチで,筋肉の緊張を和らげて行きますが,頑固な肩こりは鎮痛剤の内服や鎮痛剤入りの外用薬による薬物療法が有効です。また精神的ストレスが原因である人は安定剤を処方してもらい、体はもとより精神もリラックスさせるように安定剤を処方するのも著効をする人がいます。

 筋膜リリ-スと言って、肩甲骨上部のツボの筋膜の間に生理食塩水と局所麻酔剤を注入する方法は,血流を良くし筋肉の緊張を取る方法として近年注目を浴びた方法です。詳しくは筋膜リリ-スの項を参照してください。

 

 頑固な肩こりによる肩頚腕症候群ではマッサージなどを行ってもその場限りで,鎮痛効果が持続しません。

 

 痛みや炎症で筋肉が緊張し,肩こりが増強していくる悪循環を,鎮痛消炎薬や筋弛緩薬などで押さえ,筋膜リリ-スと、程よいストレッチ(筋膜はがしという運動療法)運動療法を処方され、また姿勢や荷物の持ち方の指導を受けることによって痛みの悪循環を断ち切るということが必要です。なかなか改善しないときは、整形外科を受診して,肩こりの原因をハッキリさせることと,治療方針を説明を受けるといいでしょう。

 

                                小林整形外科 宇部市 ホ-ムペ-ジ