有痛性三角骨障害

 

プロ野球の大谷選手が2019年足を痛めました。これは三角骨障害というものです。

投手に見られる症状で、基本はプレートにかける軸足側で、大谷の場合は右足になる。投球の際に足を上げて、フィニッシュに向けて体重移動していく時に、軸足はマウンドを蹴りながら回転していく。衝撃は相当なもので、その時に骨が当たる痛みを感じる。

 痛みは人によって違うが、投球ができないことはありません。テーピングを施したり、体重移動の仕方を変えるなどして対処しています。ただ、痛みのある動作を何度も繰り返すことで、三角骨がどんどん変形して、鋭く当たるような痛みに変わり、炎症を起こしてきます。骨に当たる部分を削る手術を受けることで痛みは消えますので、オフに手術を受ければ全治2~3カ月なので、翌シーズンには影響は出ないっと思われます。

 しばらく休めば痛みが完全に消えるというものではない。大谷にとって、今季は体重移動の仕方とか、いろいろ考える必要があります。 

 

 Joe’s Diary2

三角骨

小児期に距骨の後方に小さな骨(ossicle)が出現し、本来であれば距骨本態と癒合し、外側結節になると考えられます。

三角骨障害 レントゲン
図1:三角骨のレントゲン写真

 

MRIで距骨本体とossicleの信号の増強が見られます。

癒合しない場合は三角骨と診断されます。

 

三角骨障害

 

 

 

 

三角骨障害は10歳代半ば頃から出現してきます。

 

有痛性三角骨障害は、この三角骨が原因となり生じ、三角骨と足関節後部の衝突による痛みや三角骨そのものの炎症による症状と、三角骨が脛骨と踵骨に挟まれることで発生する痛み(後側型インピンジメント症候群が存在します。

 

頻繁に底屈動作を行うことが発症のきっかけとなり、スポーツ活動の盛んな人に多い。

 

 発症頻度の高いスポーツとしては、サッカー・陸上(特にジャンプ系)ラグビー・野球などがあげられます。野球ではピッチャ-に多いとされています。

また底屈の強い肢位であるため、クラシックバレーや新体操を行う人にも多いとされています。

 

症状

捻挫などの一度の大きな外力で疼痛を自覚する場合と、度重なる衝撃によって々に痛みが出現する場合があります。

大きな外傷によって起こる場合は距骨後方突起骨折(Shephard’s fracture)との鑑別が困難な場合が多いです。

患者は足首の後ろ側かつアキレス腱の前に疼痛を訴えることが多く、足関節を強く底屈させると疼痛をきたします。

 

検査

単純レントゲン写真では、三角骨を同定することができ(図1)、最大底屈位で脛骨と踵骨に三角骨が挟まれる像を認めます。CT検査では、三角骨がよりわかりやすくなります。

MRI検査では、三角骨と距骨本体との衝突がある場合では、三角骨と距骨本体との関節面に骨髄内の信号上昇を認めます。

三角骨が脛骨および踵骨に挟まれている場合では、三角骨の骨髄信号上昇のほかに、三角骨周囲に限局した液体貯留や滑膜の肥厚を認めます。また、近傍を走る長母指屈筋腱腱鞘内の液体貯留を伴うこともあります。

 

 

 

三角骨 CT sagital

 

治療

治療としては、まずは保存療法を行います。

具体的には、NSAIDsの内服、あしくびを下に曲げるのを制限するためにサポーターやテーピングを用います。

また、ステロイド薬と局所麻酔薬の局所注入が有効。なことがあります。

症状が強い場合、再発を繰り返す場合などは手術でこれを切除することが有効となり再発することはあまりありません