ベネット骨折(母指CM関節脱臼骨折)
原因:

ボクシングのパンチや,ボールが当たるなどで母指の先端部から根本に向かって強い力が加わると、母指の中手骨の根本に骨折が起こり、同部の関節でずれ(脱臼)が生じます。母指を開いた状態で長軸方向に力が加わると発生します。バイクや自転車のハンドルを握ったまま転倒した際、スキーで場合やストックを握った状態で手をついた時に発生します。
 この外傷をベネット骨折(母指CM関節脱臼骨折)と呼びます。 骨折部を手で整復してもすぐにずれてしまう特徴があります。運動、事故などに伴い発生する骨折ですので、あらゆる年齢層に発生します。スポーツ選手などでもみられます。男性に多い骨折ですが、女性にも発生します。

症状:

母指の中手骨の根本に腫れや痛みがあり、母指を動かしにくくなります。骨折があれば皮下出血を生じ皮膚が紫色に変色します。「母指CM関節骨...」の画像検索結果

 

ベネット骨折の診断

■単純X線
単純X線写真は放射線被爆量も少なく、費用もわずか。その場で撮影も終了し当日説明を受けられるので、整形外科では必ず施行します。
母指の手根骨と中手骨で作られる関節がCM関節です。

 

単純X線像。CM関節に骨折がみられます。

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■CT
単純X線で診断がつかない場合でもCTであれば診断可能です。

治療:

手による整復とギプス固定のみでは骨折部は容易にずれるので、手術により整復した状態で鋼線による固定を必要とします。保存療法では骨片が安定しないため手術療法を選択することが多いです。

鋼線とよばれる金属で骨折を固定したり金属のネジで骨を固定する手術もあります。


 

ベネット骨折の予後

ベネット骨折は頻度の高い骨折で、早期の診断治療が大切な骨折です。骨折の部位程度などにより治療後の予後は変わってきます。早期に整形外科受診することをお勧めします。