頸部の筋

ストレートネック

 ストレートネックとは,長時間デスクワークを行う人に多く見られレントゲン上,クビの骨の配列が直線状になる事をいい、スマホやパソコンなどを使う人の肩こりや頭痛の原因となります.

最近ではスマホの爆発的普及によりスマートフォンの使い過ぎによるストレートネックが増えてきています。

    正常頚椎側面像   ストレートネック

    正常          ストレ-トネック

 

 通常では首は前に曲がったカーブを描いておりこれを生理的な前弯といいます。正常な人の首の前湾角度は 30~40度です。

右の写真はストレートネックのレントゲン側面像です.首の曲がりが消えまっすぐに並んでおり,左の正常な頚椎のレントゲン写真と比べると明らかにカーブが減っています。 

 ストレートネックでは,首を動かしても,頸椎のカーブはまっすぐな形そのままで,下位頸椎はほとんど動きません.脳に近いところだけが動くようになりますので肩こりだけでなく,手のしびれ(筋肉の配列が乱れ神経や血管を圧迫する),頭痛,めまいなども起こすことがあります.

  

チョイス:大丈夫?あなたの姿勢➡クリックにて体操法が見れます。

症状

無症状 :はじめはストレートネックや頚椎後弯であっても必ずしも症状が出るわけではありません。

 

ストレートネックに伴う症状はクビの痛み,肩こり,首の伸展時痛、制限、頭重感など.
ひどくなると,めまい吐き気や上肢のしびれ,脱力感を訴える場合があります.

 

男性・女性ともに多く現われますが、最近では子供にも増えてきたといわれています。

 

ストレートネックの原因

 

  頚椎は通常,上の左の写真のように前にカーブした配列をしており,重い頭を肩甲挙筋,脊椎起立筋、僧帽筋など,背中側の筋肉で効率よく支えています.肩こりのない人でも下を向いた状態を続けると首の生理的前彎が減少しストレートネックの状態となってしまい,この状態が継続すると筋肉の過緊張が続き固くなってしまい,肩こりを引き起こします。

 

不良姿勢

 ストレートネックの原因として姿勢の問題があります.坐っているほうが,負担が少ないように見えますが,骨盤周りの筋肉が衰えた現代人は,いい姿勢(骨盤の前傾)を保持できないため,背骨のS字状の生理的彎曲が崩れて猫背になり,座位姿勢では単一のC字型のカーブになっています.ほとんどのストレートネックは、「猫背(肩巻き猫背)」や「不良姿勢」に起因しています。これは顎が前に突き出た「頭部前方突出姿勢」をおこし、首がストレ-トになってしまいます。結果として肩甲骨の間にある僧帽筋や菱形筋が,突き出した頭が前に倒れないように,常に収縮して筋疲労を起こし,血流が悪くなり,肩こりを引き起こします.

 

オ-バ-ユ-ズ

 下を見る姿勢を続けると首から肩,肘を固定しようとして、クビの前側にある筋肉も過緊張を強いられます.クビの前側の筋肉は小さいですが,腱の様に硬く伸びにくいため,動く範囲は狭いものの強力にクビを前に引き寄せます.長く下を見ると頸部の前側の筋肉が硬直し,さらに硬くなっていきます.この筋肉が短縮したまま不可逆性に拘縮すると、生理的な彎曲が失われ,ストレートネックもなかなか治りません。
  頚椎が逆に前屈した状態になってくると重症で,両手のしびれや脱力をきたすこともあります.

 

バレ-や社交ダンス、体操、新体操、シンクロなど

姿勢を良くしようとして顎を引いている状態を続けた場合、首の自然なアーチが失われ、まっすぐになるだけでなく、首が逆カーブになってしまう場合もあります。

このタイプの人は首だけでなく背骨全体をまっすぐに保とうとする傾向にあります。

効率的に回転するためには回転軸はまっすぐの方が効率が良いので、背骨が弯曲のすくないまっすぐな形へと変わっていきます。いわゆるストレ-トバックという状態になり、首もまっすぐになってきます。

背骨全体がまっすぐなので見た目は姿勢が良く猫背ではありません。

 

ポーツ障害により起こる場合

スキ-やスノボ-での転倒によって頸椎を痛めたとき

ラグビ-やボクシングなどでの腰をかがめる姿勢を続けると首が直線上になります。

骨盤・股関節タイプ

股関節や仙腸関節に機能異常や変形がある場合、それを補うために背骨全体のバランスが変わってきます。仙腸関節の障害により骨盤の前傾が強かったり、変形性股関節症や臼蓋形成不全があり股関節がうまくかみ合わない場合、多くはそれを補おうとして骨盤が前傾します。その結果、背骨全体の弯曲に影響を及ぼし首のストレートネックへと波及することがあります。。

 

椎間板変性

  上記のような状態が長く続くと,頭を支えている頚椎にも負担がかかってきます.椎間板に圧力がかかりやすくなるので椎間板の変性を起こしひいては頚椎椎間板ヘルニアや頚椎椎間板症をおこして,肩こり,クビ痛だけでなく神経が圧迫されるようになると手の痛みやしびれ,脱力をきたします.椎間板のクッション作用が落ちると頸椎自体も変形して変形性頚椎症をおこし,ひどくなるとで脊髄の圧迫を起こすようになり手の細かい作業ができなくなる巧緻運動障害や腱反射の亢進、階段がおりにくくなるなどの下肢運動障害,膀胱直腸障害を起こすことになります。

 

ストレートネックの診断と治療

 ストレ-トネックは首がまっすぐになった状態を示す言葉ですので、病名ではありません。レントゲンで首が前弯のカ-ブがないことで診断されます。

 「ストレートネッ...」の画像検索結果NHKためしてガッテンより:クリックすると動画が見えます。

壁に背中をつけて後頭部がかべから開けば姿勢が悪くストレ-トネックの可能性があります。

 

治療は原因となる疾患がなければ,対症療法となります.
  発症直後は消炎鎮痛剤,湿布などの外用薬投与などの対症療法。

症状が落ち着いてから,頚肩甲部の筋緊張緩和などのリハビリを行います.

 

またストレートネックは予防が大事なので,普段の生活習慣,特に座り方や下を長時間見ないように普段から心がける.骨盤から腰,背筋のストレッチの必要があります。腹筋などの筋力訓練も重要です.

 

 

現代の生活では坐る事が多く,腰痛,肩こりの一因となっています.腰痛を起こしにくい座り方をすることが,ストレートネックを防止し,肩こりを予防することにも有効です.

特に椅子に座る場合には椅子の前に座って背筋を伸ばしてください。ソファ-に座るように背筋を丸くして座ることは慎みましょう。


 ●環境や生活習慣の見直しが治療開始の最重要項目となります。
 これは、根本を解決しない限り、どのような治療を行っても、再発の危険性がぬぐえない為です。
 実際、ストレートネックを発症した方は、半数以上が再発を経験します。
 

 デスクワークをする方の場合、
    長く同じ姿勢をとらないよう一定時間おきにストレッチを行う

   30分に1回は立ち上がり腕を伸ばすなど自分の中で一定のルール・取り決めのようなものを設定する      事も良いでしょう
  パソコンの画面を視線の高さに合わせる
   前かがみの姿勢が続かないようにくふうをします。

 

薬物療法

 抗炎症鎮痛剤

   ストレートネックを発症すると頸部に炎症を発症しているケースがあります。
   痛みの強い場合は、非ステロイド性消炎鎮痛剤などを用いて治療をしていくケースも考えられます。
  薬物の服用は一時的な処置ですが、炎症を抑える事で痛みも引いてきます。

 

筋弛緩剤

 筋の緊張をほぐすために筋肉を和らげる薬を使います。
 

葛根湯
  葛根湯は、かぜのひきはじめや発熱症状時のさむけや悪寒、首筋や肩のこわばり、などに使われるが多い漢方薬です。
  効果としては、主に体を温める働きと代謝をあげ寒気を軽減します。それと同時に筋肉の緊張を解き血の巡りを良くする作用があります。
 
 リリカ 

   神経痛が合併した時に使います。

 

温熱療法
 薬物療法などで炎症が緩和し、痛みも引いてきた段階では、温熱療法が効果的な治療手段のひとつとなります。
 温熱療法は、文字通り「温める」ことによって血行を高め、回復力を高める治療のことを指します

具体的にはマイクロ波や、温パックなどです。

 

 

首を牽引

首の牽引は椎間板に加わる圧力を軽減することによって、痛みを軽減します。硬くなった筋肉をストレッチする目的でも行われます。

 

電気治療

首回りの筋肉をほぐしたり血行促進、除痛を目的とします。

 

首の矯正枕

 ストレートネックの首の治療では、保存療法に加えて、ストレートネック対策の枕などを使用します。

家庭で行うには、バスタオルなどを丸めて筒状にします。そしてこれを首の後ろに充てて寝るようにします。30分を目安に行ってみてください
 睡眠時を利用して首の正常な湾曲を取り戻すように矯正をしていく方法にもなります。「ストレートネッ...」の画像検索結果

 

首の姿勢の矯正

 首のカ-ブを良くするために首の矯正の運動が必要です。

 方法として顎に右手の人差し指を当てこれを後ろに水平に押します。これとともに頭を後方にやはり水平に移動させます。このことによって首の前のカ-ブを作ることができます。

 

 

 

ストレートネックチェックポイント

以下の2点が当てはまる人はストレートネックの可能性があります。
※このチェックポイントは、あくまでもめやすです。正確に診断したい方は、整形外科などを受診した時に 専門医に相談してください。

  1. あごが引きづらい うなずくのがツライ
    ストレートネックの人は、首の後ろの頭との付け根の部分にある「後頭下筋群」の筋膜が固まっています。
    すると、あごをのど元に引こうとする時、後頭下筋群がうまく伸びないため、痛みを感じたり、上手くできません。また、あごが上がった状態が日常的になると、首の下の皮が伸びるため、2重あごになったと感じる人もいます。
  2. 肩より耳が前に出ている
    無理なく、まっすぐと立った状態を横から見た時に、くるぶしと肩を結ぶラインより、耳が前に出ている人は、ストレートネックの可能性があります。ただし猫背の人なども、耳が前に出ることになるので、一概にこれだけでは判断できません。

頚椎のわん曲を取り戻す タオルストレッチNHKためしてガッテンより

  1. フェイスタオルを両手で持ち、首の後ろの真ん中に当てる 
    15.jpg(pc-img)
  2. 次に両手を斜め上に引っ張り 頭を少し上に倒す 
    16.jpg(pc-img)
  3. その状態から、あごをのど元に引きつけるように、うなずく動作をする【(5秒~20秒)】
    2~3の動作を1日5セットがめやすです
    17.jpg(pc-img)

 

 

 

■ 肩甲骨を動かす運動

① 左右の肩甲骨を離すために5秒ほどかけて腕を前に突き出します。

② 次に肘の高さをキープしたまま、ゆっくりと後ろに引いていきます。

③ そして、引いた腕を上に起こします。
動作はゆっくりと。肩甲骨の動きを意識して、1日の中で気がついた時に何度も行ってみましょう

 

肩こりのストレッチ法➡クリックしてみてください肩こりのストレッチについて書いています。