小林整形外科  

759-0208宇部市  西宇部南4丁目9-26                                           Tel:0836-41-8380 

 

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●は診察 ×は休診です。木曜午後、 日曜、祝日は休診します。

                          ● 土曜日は原則的には、午前、午後とも診察していますが第4土曜日の午後のみ休診。

 

腰部脊柱管狭窄症

中年以降になって腰痛とともに足のしびれや痛みを生じた場合、この疾患を考える必要があります。
 特に特徴的な症状は歩いている途中で足のしびれや痛み、足のだるさでそれ以上歩けなくなるというものです
これを間欠性跛行といいますが、同様な症状を起こすものに閉塞性動脈硬化症≪バージャ-病≫があります。これは動脈硬化などにより動脈の内腔が狭まって下肢の血行が悪くなるもので主にふくらはぎのだるさや痛みを訴えます。
 同じ間欠性跛行でも動脈の閉塞によるものは立ち止まるだけである程度警戒します。逆に腰から来るものは立ち止まって腰を曲げたり,しゃがんだりすると症状が軽快します。

  

腰部脊柱管狭窄症の症状

 

  

    脊柱管狭窄症の代表的な症状は間欠性跛行と言って、歩くと足のしびれや痛みによって途中で休憩が必要になるというものです。

脊髄(馬尾)の圧迫によって起こります。

圧迫される箇所によって、痛みの部位が変わってきます。

 

 

馬尾型
馬尾神経(脊柱管の中心部分)が圧迫されるタイプ。
両下肢のシビレ感、冷感、疼痛、排尿障害(膀胱直腸障害)などの痛みが起きます。
神経根型

)馬尾神経から分岐した後の神経根が圧迫されるタイプ。
臀部(でんぶ)から足にかけての痛みが起きます。

混合型
馬尾型および神経根型両方の症状が起きているタイプ

圧迫される箇所によって、痛みの部位が変わってきます。

 

 「腰部脊柱管狭窄...」の画像検索結果「腰部脊柱管狭窄...」の画像検索結果

 

正常             腰椎4/5間の辷りと狭窄

 

 また椎間関節という上下の脊椎をつなぐ関節の変形もこの疾患を起こす原因になります。

椎間関節は、脊柱管狭窄症につながる構造的な要素を持っています。

背骨を支える靭帯や多裂筋などのインナ-マッスルの機能不全があると、脊椎は不安定な状態になります。その結果、関節を包む関節包やそこに付着する黄色靭帯に過剰な負荷が掛かり、黄色靭帯は線維軟骨化という固くなる現象を起こしてしまいます。
これは、不安定な背骨を安定させるための人体の防衛反応なのですが、黄色靭帯の変性が進行してしまって関節部が肥大してくると脊柱管狭窄症という病態になり、しびれ、麻痺、激しい痛みを引き起こします。

 

黄色靭帯とは脊髄の後ろ側を通るまさに黄色の靭帯で、脊髄を保護する役割があります。
 椎間関節と靭帯の関係

この黄色靭帯は、椎間関節を包んでいる関節包の前壁の一部を形成しています。


脊柱管狭窄症は黄色靭帯や後縦靭が変性して増殖したのが原因の1つとなり、脊髄を通す脊柱管が圧迫された状態です。

 

〇病院での検査

病院では、X線検査(レントゲン)やCT検査・MRI検査を行い、これら画像を見て脊柱管に狭窄が起こっているか確認します。 通常、X線検査(レントゲン)検査を行った後、もっと詳細な情報が必要な場合、骨以外の状態を見るために、CT検査やMRI検査を行います。 

しかし、狭窄が起こっていても必ずしも症状が出るわけでありません。 又、脊柱管狭窄症の症状の特徴でもある「間欠跛行(かんけつはこう)」の症状が出る「閉塞性動脈硬化症」 など、他の病気が原因では無いかもあわせて判断されます。

どんなタイミングで受診したらいいのですか

 

 

腰の違和感が強くなり、腰痛が3週間も続くようなら、一度整形外科に行くことを勧めます。足のしびれなどの症状があれば腰部脊柱管狭窄症を疑います。特に、長く立っていたり、歩くのが辛い、20~30分が歩きにくくなったり、歩けなくなってきたら、早めに原因を調べてもらいましょう。安静にしていても痛い時、夜間も痛む時や歩いている時の催尿感などの症状がある場合はすぐに整形外科を受診しましょう。

 

 

【治療】

  程度によりますが、まずは薬物治療から開始します。症状の緩和が不十分あるいは無い場合、侵襲は強くなりますが効果が期待できるブロック注射を行います。

 

薬物治療
血流改善薬
     神経圧迫による血流障害が生じているため、薬物による血流改善を図ります。

ビタミンB12
    ビタミンを補給することにより神経の改善しやすい環境を整えます。

 

 非ステロイド抗炎症鎮痛剤
 疼痛を一時的にでも緩和することで、生理的な回復力を促す起点となります。
 

末梢神経障害性疼痛改善薬

 プレガバリンと言って神経の痛みを生じる経路の伝達物質を遮断することによって神経痛を軽減するこ   とができる薬です。手術が必要ない場合はよく使われている薬です。
 神経痛に特化した治療薬です。中枢・末梢神経の障害に有効です。

 この薬を飲むと眠気がくる場合やふらつきがあることがあります。

 

ノイロトロピン

歴史のある薬ですが、NSAIDSと異なり下行性抑制系を活性化して疼痛を抑制するという機序が解ってきました。

オピオイド系鎮痛薬

 非ステロイド生陳津消炎剤で効果がない痛みに対して適応があります。

漢方薬

 八味地黄丸下半身の疲労脱力、多尿、、尿利減少、腰痛手足の煩熱またはしびれ、口渇などを目標とし、糖尿病、高血圧にも応用する[。この他、脊柱管狭窄症において効果が得られている。

 牛車腎気丸;

 排尿困難、頻尿
 ・むくみ、かゆみ
 ・下肢痛、腰痛、しびれ

下半身の機能が弱ってくると、腰痛やしびれ、むくみなどの症状が表れてきます。カスミ目にも聞きますこれら高齢によって生じる症状に広く牛車腎気丸が使用されます。

 

体力の弱っている人(虚証)に適した漢方薬であるため、体力が充実している人には向きません

 

 

 

 【装具療法】

コルセットで腰椎を安定させ、痛みを抑えます。
メッシュなどの弾力性のある素材の一部にプラスティックの支柱が入り腹筋、背筋を支える「軟性コルセット」を使用します。
痛みを和らげるために前かがみの姿勢を保つ「腰部脊柱管狭窄症専用のコルセット」もあります。

 

 

 

腰部脊柱管狭窄症コルセット

 

物理療法

 

電気治療

  • 低周波
  • 干渉波
  • SSP療法
  • 目的としては主に、痛みの軽減と緩和です。
 SSPはいわゆるツボに低周波を当てる東洋的医療になります。
電気治療は痛いところだけでなく、痛みに関連する部位に行うと効果を認めることがあります。
 
 温熱療法
  • マイクロ波療法
  • ホットパック療法  など
  • 」マイクロ波は深部までその熱量が到達し血流増加や、鎮痛効果があります。

 ホットパックは、筋肉まで熱が届かないとされていますが、リラクゼーション効果はあります。

 

牽引(けんいん)療法

 

牽引の考え方としては、基本的に圧迫しているところを除圧する目的で行われます。
 椎間板の除圧や椎間関節の伸展など主な目的で使用されますが、実際の牽引力では椎間関節の離開は無理です。
 マッサージ
 筋肉の痛みを和らげることはありますが、あくまでも補助的なものです。
 

 

自転車こぎ:エアロバイクなどの有酸素運動は腰をやや曲げながら行え、下半身の筋力増強になるばかりでなく、痛みでやせた筋肉を取り戻すことにもなり、また痛みの軽減も考えられます。

 

 
 
こういったリハビリが一般的に行われます。
 ブロック注射
1.硬膜外ブロック・仙骨裂孔ブロック
脊椎の隙間あるいは仙骨(骨盤の一部)から脊柱管内へ注射を行います。ステロイドという神経の炎症を緩和する治療薬を使用して症状の改善を図ります。内服薬より高い効果が期待できます。
2.神経根ブロック
脊柱管内を走行している神経が枝分かれして神経根となり、腰部であれば下肢へと向かいます。障害を受けている神経根1本に直接注射を行います。最も治療効果を期待できます。

上記のように保存的治療を行っていきます。保存的治療での注意すべき点ですが、脊柱管の狭窄を改善しているわけではなく、狭窄した状態のまま症状や運動機能の改善を図っていることです。残念ながら、狭窄した部分を拡張させることは困難です。

④手術
治療効果が不十分な場合は手術となります。保存的治療では困難であった脊柱管狭窄部を拡張・安定させることで神経への圧迫を解除します。それにより症状や運動機能の改善を図ります。腰部脊柱管狭窄症は緩徐に増悪していく疾患ですが、中には緊急手術に至ることもあります。緊急手術になる障害・状況はいくつかありますが、その中でも特に重要な障害が膀胱直腸障害です。腰部脊柱管狭窄症は重篤になると排尿・排便障害を来します。最悪の場合、自分の意思とは関係なく漏れ出てしまう尿失禁・便失禁に至ります。その状態に至ってから手術を受けたとしても改善の見込みは乏しく、QOL(生活の質)を著しく低下させてしまいます。腰部脊柱管狭窄症の既往があり膀胱直腸障害の兆しがある方は注意が必要です。

 

リハビリテーション(運動療法・物理療法)
歩行障害や下肢症状により運動量が低下します。その結果、運動機能がより低下しやすくなります。リハビリテーションによって低下した運動機能の改善を促します。また除痛効果も期待できます。

 

立っているときの姿勢

上体を反らさないようにしましょう。上体を反らすことで、脊柱管を狭め、圧迫させてしまうため、痛みが再発する恐れがあります。長く立ち続けないことも大切です。長時間足腰へ負担をかけることにより、症状を悪化させる可能性があります。

歩いているときの姿勢

少し前かがみになって歩きましょう。腰部脊柱管狭窄症は、体を反らせると症状が悪化するケースがあります。背中を丸めた状態だと、症状が落ち着くことが多いため、杖を使ったりシルバ-カ-や押し」車を使いましょう

寝る時の姿勢

仰向けになり、膝を曲げて寝ます。膝の下に、丸めた毛布やバスタオルなどを置くと良いでしょう。膝を曲げずに仰向けになると、必然的に体が反ってしまいます

ひざ下に枕を置いて寝ましょう。こうすることによって腰が反るのを防ぐことができます。

 腰部脊柱管狭窄症の自宅でできる改善法

椅子に座って行うストレッチのやり方

(1) 椅子に浅く腰掛け足を肩幅に開く。
(2) 息を吐きながら両手で脚の甲を掴めるまで上半身をゆっくり倒す。
(3) この状態で5秒間キープする。
  背骨の後ろ側の筋肉と椎間関節が伸ばされる。「腰部脊柱管狭窄...」の画像検索結果
(4) 息を吐きながらゆっくり起き上がり両ひじを高い位置で後ろに引く。
(5) この状態で5秒間キープする。
  この時腰は反らさず胸を突き出すイメージ。
(6) 元の姿勢に戻す。
1セット5~10回を1日朝・夜2セット行うと効果的です。
※痛みが出る場合は止める。

 

 

 

手術を考えるのは

 

手術をしなければいけないのは、排尿障害(尿漏れや尿の排出困難)、排便障害を起こした時と、進行する筋力低下が生じたときです。このようなときは、早急に手術をしないと神経がダメージを受けて、手術をしても元に戻らなくなることがあります。

しかし、そこまで我慢する人はまれで、ほとんどの方が疼痛で長く歩けない、あるいはほとんど歩けないなど、日常生活に支障をきたすきょうな症状が続き、手術以外の治療で改善しない場合手術を考えるようになります。

 

手術の方法

「神経の圧迫を取る」というのが重要なポイントになります、すべりなどのない、加齢に伴う脊柱管狭窄症の場合には、骨を削る、あるいは黄色靭帯を切除することで、神経(馬尾あるいは神経根)が楽になる状態を作ることが治療になります。
この治療法には、従来、椎弓切除という方法がありました。しかし、骨をたくさん削ることによって腰痛が残ってしまうなどの問題がでてきたため、できるだけ骨を削る範囲を最小限にする方法が生まれました。

 

 最近では内視鏡を用いて筋肉の障害も最小限に防ぐということも行われるようになりました。また、棘突起を 二つに割ることで筋肉をまったく傷めないという方法など、様々な工夫が行われているところです。

すべり症などで脊椎が不安定になっている場合は、手術しても 下肢痛は取れたが腰痛はひどくなったということもあり得ます。このため脊椎を固定するということが付け加えられます。

 

固定術になると、神経の圧迫を取るだけの手術と比べて侵襲が大きく、手術時間あるいは出血量の問題が出てくることもあります。また、多くの 症例では金属製のネジなどを使用して固定されます。その人の体力や合併症にも応じて手術が選択されます。