コンパートメント症候群

 

 下腿には足を動かすための多くの筋肉があり、よく似たはたらきをする筋肉同士が集まってグループを形成しています。その間は強靱(きょうじん)な筋膜で隔てられ、それぞれがコンパートメント(区画)のなかにおさまるような構造をしています。 筋膜は体の外側から体系を支えるボデイス-ツのようなもので、これがないと
 このコンパートメントの内部の圧力が上がり、筋肉や神経が圧迫障害されるようになった状態を下腿コンパートメント症候群といい、慢性型と急性型があります。

 

 

原因、種類

 

 スポーツによるものとしては慢性型が多くみられます。長時間の走行などで筋肉が腫大(しゅだい)してコンパートメントの内圧が上がると、下腿の疼痛(とうつう)を生じてそれ以上走れなくなります。少し休むと疼痛は改善しますが、また走り出すと再発します。 腓骨筋や、腓腹筋などに起こりやすい と言えます

 

 急性型は、下腿骨折などの外傷時にコンパートメント内に血腫(けっしゅ)などが生じて急激に発症するもので、神経麻痺を伴います。ギプスやサポーターによる圧迫でも生じることがあります。

一番有名なのはフォルクマン拘縮と言って上腕骨顆上骨折の場合に起こるもので、神経麻痺や筋肉の血行障害による拘縮を起こすものです。この兆候が見られたら緊急手術が必要になります。

 

 

検査と診断

 コンパートメントは腫脹(しゅちょう)しているので、下腿は膨隆(ぼうりゅう)します。患側の下腿を押さえると硬く、疼痛を伴います。正確な診断のためには、コンパートメント内に圧センサーを刺入して内圧を計ります。圧が上昇していれば診断は確定します。

 

 

治療の方法

 慢性の場合は、走行時のフォームの異常などにより一部の筋肉に疲労が蓄積して生じることも多く、その場合はフォームの矯正を行います。時には足底挿板(そくていそうばん)を用いて矯正することもあります。なかなか症状がとれない場合には、圧を逃がすために手術的に筋膜切開を行うこともあります。
 急性型では、放置すると大きな後遺症を残しますので、症状が重症であればただちに手術が必要なこともあります。

 

                            小林整形外科宇部市  ホ-ムペ-ジ