月状骨軟化症(キ-ンベック病)

 

手首の背側真ん中にある月状骨の壊死であり、おもに血行不良が原因になって起こるとされています。キーンベック病とも呼ばれています。

 

原因

  いまだに不明ですが月状骨に繰り返し外傷(圧迫など)が加えられて外傷による血行不良と、骨折が混在するといわれています。尺骨が橈骨より長い場合には繰りに返し月状骨に機械的な刺激が月状骨に加わり、キ-ンベック病が起こりやすくなるといわれています。しかしそれではない症例もあり根本的な問題ではありません。

 

素因

 従来より手関節を酷使する肉体労働の利き手に発症することが多いとされてきましたが、女性や子供、非利き手に発症することもあります。

 

症状

手関節の痛みを訴えます。手関節の背側中央の労作性の痛みが主訴であり、進行するに従い痛みが増強し、可動域限や、腫脹があらわれます。また握力も低下をきたします

 

診断

進行する手関節の痛み、可動域制限、握力低下

X線にて月状骨の無腐性壊死の変化を見る

 Lichtmann分類が良く使われています。

Stage1:X線の変化なし

     2:月状骨の硬化像

     3A:月状骨の圧壊 

     3B:月状骨の圧壊と舟状骨の掌屈

     4:手関節全体の関節症変化

 

臨床症状とX線にて診断は容易であるが初期にはX線の変化もないので、早く診断するにはMRIを使用します。月状骨のT1強調像で低信号領域がればキ-ンベック病が疑われます。

 

 

治療

Stage1:保存的治療、ギプスや装具による固定

  2と3A:尺骨と橈骨でマイナスの尺骨バライアンスでは橈骨短縮術を行うと改善がよく期待できる。

    3A月状骨の血行の再建を図るために血管丙付き骨移植

  3B,4:月状骨摘出後長掌筋権を丸めて固定術を行う方法、手関節固定術

        橈骨骨切り術(短縮)