関節運動学的アプローチ(AKA-博田法)とは、「関節運動学に基づき、関節の遊び、関節面の滑り、等の関節包内運動(関節の中での動き)の異常を治療する方法、および関節面の運動を誘導する方法」と定義され
 
この方法は本来、関節拘縮(動きの悪い関節)の治療の為に開発されたものですが、その研究過程で関節面の動きの改善が痛みやしびれに著しい効果を示すことがわかり、今では痛みの治療法として知られています。
上記の説明はAKA-博田法を医学的に簡潔に説明したものです。しかし、多くの患者さんにはあまりピンとこないでしょう。

関節機能障害が起こると関節反射という特殊な反射が起こります。この反射により、関節周囲の筋肉や靱帯などが過剰に緊張したり、痛み、シビレ、コリといった様々な症状を起こしたりします。

特に骨盤にある仙腸関節の機能障害による影響は、骨盤のある腰だけでなく、頭から手足の先に到るまで全身の様々な症状を誘発します。

 

 

正常な関節は関節包の中で互いの骨がわずかに動きます。この関節包の中での動きを関節包内運動といいます。
関節包内運動が何らかの原因により障害され、関節の中の動きが悪くなったり関節が炎症を起こしたりすることがあります。関節本来の滑らかな動きが障害されるため、これを関節機能障害といいます。
関節機能障害が起こると関節反射という特殊な反射が起こります。この反射により、関節周囲の筋肉や靱帯などが過剰に緊張したり、痛み、シビレ、コリといった様々な症状を起こしたりします。

 

 

皆さんは関連痛という言葉をきいたことがありますか?
関連痛とは痛みの原因と離れた部位に起こる痛みです。

 

シビレ、コリ等の多くは関節に原因がある
仙腸関節の機能障害が原因でおこる痛みやシビレ、コリといった症状は、原因である仙腸関節と離れた部位に起こることがあり、その症状は腰だけでなく頭から足の先に至るまで身体の何処にでも起こり得ます。逆にいうと整形外科的な痛みやシビレ、コリといった症状は、その強弱や部位とは関係なく、仙腸関節の機能障害によりおきていることが多いのです。

特に骨盤にある仙腸関節の機能障害による影響は、骨盤のある腰だけでなく、頭から手足の先に到るまで全身の様々な部位及び、痛みやシビレ、コリといった症状の根本原因となることが多いのです

 

実は整形外科の痛みをAKA-博田法の視点から再診断してみると、関節機能障害が原因によることが多く、これらをまとめて(仙腸)関節原性関連痛といいます。つまり(仙腸)関節が原因で起こる関連痛です。



AKA-博田法は、関節包内運動を正常にする(関節の中の動きを良くする)治療法です。

実際の治療では、どの部位の症状も仙腸関節から治療していきます。例えば膝や首が痛い患者さんも仙腸関節から治療します。膝や首が痛いのに仙腸関節?と疑問を感じる方も多いでしょう。しかし、仙腸関節を正しく治療すると、膝や首は勿論、触ってもいない部位の痛みやシビレ、コリなどが良くなることが多いのです。仙腸関節を治療しても症状が残る場合、他の関節も治療します。
以下が機能障害を起こしやすい関節です。
・仙腸関節(骨盤後面にある関節)
・椎間関節(首から腰までの背骨の間にある関節)
・肋椎関節(背骨と肋骨の間の関節)、胸肋関節(背骨と肋軟骨の間の関節)

 

関節機能障害が原因であれば、AKA-博田法ですぐに良くなるのか?というと必ずしもそうではありません。関節機能障害は大きく分けて3つに分類でき、そのいずれかにより治り方が異なります。

①関節機能異常:
最も軽症なもの。関節面の動きが悪くなっただけのもので、仙腸関節にもっとも多く、次いで肋椎関節、椎間関節、足の関節などにおこりやすいものです。
②単純性関節炎:
仙腸関節に起こりやすく強い症状がおこります。
③関節炎特殊型:
特に仙腸関節に起こる関節炎の特殊なものです。冷え等の自律神経の失調症状を訴える方が多く、全身の色々な部位に痛みやシビレ、コリ等を起こすことがあります。
この炎症の強いものの中には治療当初変化しないものがあり、その多くは2~3ヶ月目より徐々に改善し始めます。症状は部位が変わったり再発を繰り返したりします。このタイプには老化によるものと、体質的に関節が弱いものがあります。

 

 

患者さんはベットに横に寝て頂き、術者の手により関節を動かしていきます。関節を動かすというと強い力で押したり引いたり、あるいは捻ったりというようなことをイメージする方もいるでしょう。しかし、AKA-博田法で治療時に加える力は非常にソフトなものです。ほとんどの患者さんは何をされたのか判らないくらい弱い力で治療します。患者さんの中には「こんなに軽く触れただけなのに本当に良くなるの?」と質問される方もいらっしゃいます。