肘内障

 

     肘内障とは、子供に起こる肘の骨をマフラ-の様に巻いている靭帯が外れることによっておこる状態です。
一番多いのは子どもと手をつないで歩いているときに、とっさに手を引っ張った後に、痛みとともに子どもが腕をだらんとした状態になれば可能性が高くなります。

肘内障を起こすことは2,3さいごろが多く徐々に減少し、小学校に上がるころには自然になくなります。

          

症状

      肘が曲がらなくなってだらんと垂れ下がった状態で痛がります。
最初にみたときには肩も動かさないので、肩がはずれのではないかとといって来院される親御さんもあります。上肢全体を痛がる時もあります。
痛い場所は肘の外側です。痛がる割には肘の腫れがないということが特徴です。

 

前腕には2本の骨がありこれを橈骨と尺骨といいます。

尺骨と頭骨が離れにくいように尺骨から橈骨頸部にちょうどマフラ-をかけたように伸びる靭帯のバンドがあります。これを輪状靭帯といいますが子供が転倒しそうになった時や、起き上がろうとするときに手を引っ張ったときなど、肘に前腕からけん引力が不意に加わることで、橈骨がこのバンド状の靭帯からはずれそうになってしまいます。これが肘内障の原因です。

 受傷機転

 

1.親に手を引っ張られる

2.鉄棒にぶら下がった時やぶらんこをされる。

3、寝ている時に自分の体の下に肘が入ってしまい、そのままねじれる

肘内障の治療

肘内障はすぐに治りますが、発症から時間が経つと整復しにくくなってしまいます。早めに病院に行きましょう。

徒手整復

肘を痛がる時はまず病院に行って診察してもらいましょう。

診察後肘内障であればすぐ整復を行うことで痛みは取れます。
きちんと整復されれば、子どもは5分ぐらい様子を見ると何もなかったように関節を動かすようになります。

整復後は、ギプスなどの固定は必要がありませんが整復困難例ではたまに安静保持と 骨折などを考えて念のために固定することがあります。   

 

 一方の手で頭骨骨頭部を圧迫しながら、もう一方の手で肘を外旋もしくは内旋で、断髪音とともに整復されます。
ただしあくまでも自己判断は危険ですので医療機関で見てもらいましょう。     

 

肘内障は再発しやすい

肘内障は一度起こると何回も再発することがあります。親御さんは肘を引っ張らないように気を付ける必要があります。特に4-5日間は注意が必要です。

肘内障と間違えられる疾患

       肘内障であれば、きれいに整復できればしばらくしたら症状が取れます。しかし肘内障ではなく骨折している可能性もあります。また、他の場所の受傷があることも考えられます。以下のようなものが考えられます。
 

肘の骨の骨折
子どもに多く肘内障と間違われやすい骨折と言われているのは、
・上腕骨顆上骨折、上腕骨外顆骨折、橈骨頭骨折  などがあります。

 

また鎖骨の骨折や手首の骨折の場合があります。

 

 肘内障の予防

手を急に引っ張らないようにすること や転んだときは体から起こすなどを気を付けましょう。

 

肘内障は後遺症なく治る病気です。たびたび起きるからと言って特に心配することはありません。

通常は小学校に上がるころぐらいには骨の発育によって自然と無くなります。

あまり心配せずに時期を待ちましょう。