肩石灰沈着性腱炎

 30~60代の女性に多くみられ、肩腱板(けんけんばん)内に沈着したリン酸カルシウム結晶によって急性の炎症が生じ、肩の疼痛(とうつう)・運動制限をきたす病気です。

灰沈着は腱板の加齢による変性と、ホルモンの影響によりできると考えられています。30-60歳の女性に多く発生します。 症状は耐え難い肩の痛みがと勲位原因がなくて、突然にやってきます。 痛みが強くなると何日も夜眠れないほどになり、また肩の挙上ができなくなります。

治療は保存治療(消炎鎮痛剤の内服、座薬や注射など)で治癒することが多いのですが、 痛みが慢性的に続いている場合や症状が強い場合は関節鏡による治療の選択もあります。

 

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原因

 肩腱板に石灰が沈着する原因については諸説ありますが、いまだ特定はされていません。石灰は当初は濃厚なミルク状で、時間の経過とともに、練り歯磨き状、石膏状と硬くなってきます。 腱板の中にリン酸カルシウムの決勝が沈着することによって起こるのですが、肘やひざなど他の関節でも起こることがあります。甲状腺やエストロゲンの内分泌異常を持つ場合発症しやすく治りにくいという報告もあります。

 

症状の現れ方

石灰沈着性腱板炎はその名のとおり,腱板の中に石灰が沈着して,炎症を起こすものです.石灰が沈着して炎症を起こすと,目が覚めるほどの激痛が夜間襲ってきます。

 多くは、夜間に突然生じる激烈な肩関節の疼痛で始まります。痛みで睡眠が妨げられ、肩関節を動かすことが非常に痛くてできなくなります。
 発症後1〜4週に強い症状を呈する急性型、中等度の症状が1〜6カ月続く亜急性型、運動時痛などが6カ月以上続く慢性型などに分けられます。 3分の1は無症候性であり石灰があれば必ずしも痛いとは限りません。

 

検査と診断

 X線撮影によって腱板部分に石灰沈着の所見が確認できます。石灰沈着の位置や大きさを調べるためにCT検査や超音波検査なども行われます。

また腱板断裂を合併することもあるのでエコ-による検査が有効です。

 

治療

 石灰成分は自然吸収されることが多いのですが、残ることもあります。急性例では激痛を早く取るために、腱板に針を刺して沈着した石灰を破り、ミルク状の石灰を吸引する方法が行われます。三角巾・アームスリングなどで安静を図り、消炎鎮痛薬の内服、水溶性副腎皮質ホルモンと局所麻酔薬の滑液包内注射なども行われます。劇的に痛みが取れますが、その注射をした夜までは痛いことがあり、翌日になれば 痛みが治ります。

エコ-を用いて沈着した腱板の場所を同定しながら、注射をすることが一番確実で有効な方法です。

また三角巾などで局所安静に勤めるようにします。

 ほとんどの場合、保存療法で軽快しますが、亜急性型、慢性型では、石灰沈着が石膏状に固くなり、時々強い痛みが再発することもあります。硬く膨(ふく)らんだ石灰が肩の運動時に周囲と接触し、炎症が消失せず痛みが続き、肩の運動に支障がある場合には、手術で摘出することもあります。

関節鏡で石灰を鏡視下にとる手術法もあります。

急激な疼痛の時はどうするか

 石灰成分は自然吸収されることもありますが、急性期の痛みはかなり強いので、整形外科への受診をしたほうが良いでしょう。非医療機関(整骨院や整体)では治療は難しいと思います。