マダニ咬創

春から夏場にかけてマダニに刺された患者さんが増えてきます。最近マダニがさしたままの状態での受診が2例続きました。

 

以前はあまり見られなかったのですが、最近増えてきたような気もします。マダニにかまれた後の処置について書いておきます。

  1.  ダニは皮膚につくと血液を吸引し膨れてパンパンになってきます。この状態では引っ張っても取ることは不可能であり、無理に引っ張ろうとすると口部がちぎれて皮膚中に遺残し、切除に難儀することになります。
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  2.  まず1%キシロカインにて局所麻酔を行う
  3.  次にダニの体を攝子で掴み、ダニの体軸と「水平」にダニ頭部ぎりぎりのところにメスを入れます。メスを入れる深さは2~3mm程度で十分です。ダニの腹部は掴んだらダニの体液を皮膚に逆流するので注意が必要です

     
     


切除後はライム病予防のためアジスロマイシン(ジスロマック)500mg/dayを3日間投与する。

 


 
 

 

 マダニは様々な病原体を媒介するが、特にライム病は頻度が高く神経障害、心筋症などを来すこともあるため要注意だといわれています。。ジスロマック投与でライム病治療期間が有意に短縮できるという報告もあります。予防投与としては有用である。

  • またここ数年話題になった重症熱性血小板減少症候群(SFTS)が挙げられます。最近山口県でこれを発症したという報道がされています。
  • 国内では、2013年1月に山口県で初めての患者が報告され、それ以降にも長崎県、広島県、愛媛県など西日本で患者が報告されています。
     万が一咬まれても全ての人が発症するわけではありません。 

    感染経路

     主にSFTSウイルスを保有するマダニに咬まれることで感染します。咬まれても痛みやかゆみはありません。
     

    症状

     マダニに咬まれてから、1~2週程度の潜伏期間を経て、発熱、全身倦怠、消化器症状(食欲低下、はき気、嘔吐、下痢、腹痛)などの症状がでます。時に、頭痛、筋肉痛、意識障害などの神経症状、リンパ節腫脹、皮下出血や下血などの出血症状などを起こします。重症になると死亡することもあります。

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    血液検査では白血球、血小板減少、GOT、GPT、LDH上昇、、低Na,Caの減少

  •  SFTSに直接有効な薬剤やワクチン等はなく、症状に応じた対処療法が主体となります。 

マダニは、吸血するために数日から2週間程は人間の体から離れません。無理にとろうとすると、マダニの一部が皮膚内に残ることがありますので、医療機関で処置をしてもらいましょう。

数週間程度は体調の変化に注意し、発熱等の症状が認められた場合は、医療機関を受診してください。

         小林整形外科  宇部市 ほ-むぺ-じ