上腕骨外上顆炎の症状

           

 

 

上腕骨外側上顆炎(じょうわんこつがいそくじょうかえん)は、腕の筋肉や腱、そして腱と骨の付着部の慢性炎症のことで、一般には「テニス肘」とも呼ばれています。

30歳代~50歳代の人に多く、物をつかんで持ち上げる動作やタオルをしぼる動作をすると、肘の外側から前腕にかけて痛みを感じます。手首や肩の方にまで痛みが放散することもあるそうです。多くの場合、安静時に痛みはないと言われています。

 

上腕骨外上顆炎の原因

加齢とともに肘の腱がいたんで起こる

           

 

 

上腕骨外上顆炎は、一般的には年齢とともに肘の腱がいたんで起こると言われています。人間の身体は、手や足首を曲げる筋肉よりも伸ばす筋肉の方が弱いため、手や足首を伸ばすことは比較的負担がかかりやすいのだそうです。

病態や原因については十分には分かっていないようですが、主に手首を伸ばす働きを持つ、短橈側手根伸筋(たんとうそくしゅこんしんきん)の起始部が肘外側で障害されて生じるのではないかと考えられています。

テニス肘と呼ばれているだけあって、中年以降の方がテニスをして腱を痛めてしまうことが多いようです。

 

パソコン作業にも要注意!?

           

 

 

そして意外なことに、パソコン作業が原因でも上腕骨外上顆炎は生じてしまうそうです。パソコンに向かう時間が長い人、とくに入力作業が多い人は注意をしましょう。

具体的にパソコン作業の何がいけないのかというと、 手首と手指の「伸展位」、つまり手首と手指が軽く反らされた状態になってしまうことが良くありません。

まず注意して欲しいのは、キーボードを入力するときやマウスを握ったときの「手首の角度」です。ほとんどの場合は、軽く反らされた状態になっていると思います。大きくグイッと反らしているわけではないので自覚はないかもしれませんが、この状態が長時間続くと、実は疲労が蓄積されてしまうそうです。

そしてもう一つの注意点は、キーボードを入力するときの「指の角度」です。もっと正確に言うと、握りこぶしを作ったときに手の甲にグッと飛び出る、中手指節関節(ちゅうしゅしせつかんせつ)という部位の角度になります。やはりここも、キーボードを打って指を上下させていると、伸展位になってしまいます。

このようにパソコン作業では、手首も手指も伸展位の状態で行われているため、結果的に起始部である上腕骨外側上顆に負担がかかり、痛みが出やすくなってしまうそうです。避けられるのであれば、長時間の入力作業などはできるだけやめるようにしましょう。

上腕骨外側上顆炎の診断方法

           

 

 

上腕骨外上顆炎かどうかを診断するには、簡単なテストを行うそうです。以下の3つの検査が一般に用いられています。すべての検査で肘外側から前腕にかけての痛みを感じたら、上腕骨外上顆炎だと診断されるようです。

(1)Thomsenテスト
まず腕は伸ばした状態で、自分は手首を伸ばす方向に力を入れ、逆に他者からは手首を曲げる方向に力を加えてもらう。

(2)Chairテスト
肘を伸ばしたままの状態で、片手で椅子などを持ち上げる。

(3)中指伸展テスト
自分は腕を伸ばした状態で、他者から中指だけを上から押してもらい、それに抵抗して中指を伸ばす方向に力を入れる。

上腕骨外上顆炎の治療法や対策

上腕骨外上顆炎の治療法

           

 

 

【保存療法】
上腕骨外上顆炎の保存療法をしては、以下のものがあげられます。

・手首や指のストレッチ
・湿布や外用薬の使用
・局所麻酔薬やステロイドホルモンの注射
・テニス肘用バンドの装着

できるだけ負担がかかるような動作は避け、手を休めるようにしましょう。

また、冷やすべきか温めるべきかで迷うこともあるかと思います。たとえばテニスなどが原因で起こった急性の強い痛みに対しては冷やし、そうではなく慢性痛になっている場合は、周辺組織の緊張をほぐして血流を促すために温めると良いでしょう。

【手術療法】
保存療法が効かない場合には、以下の手術療法を行うこともあるそうです。

・筋膜切開術
・切除術
・前進術
・肘関節鏡視下手術など

予防と治療

 

 

上腕骨外上顆炎を和らげるストレッチ法

 (1)ストレッチをする側の腕を前に上げ、親指を下にした状態で肘をしっかりと伸ばします。
(2)反対の手で人差し指と中指を外側に引っ張り、30秒ほど持続的にストレッチをします。
(3)その他にも腕の表と裏のストレッチ、そして手首も内側に倒して同じように30秒ずつストレッチを行いましょう。

上記を1日3回行ってください。
ただし、上腕骨外側上顆炎と症状が似ている疾患である可能性や、安静が優先される時期などもあります。まずは病院に行って診察を受けてからストレッチをするようにしてください。

パソコン作業が多い人への上腕骨外上顆炎対策

           

 

 

長時間のパソコン作業は避けた方が良いとはいえ、仕事などでパソコンを使う人はそうもいかないのが現状でしょう。そこでまず、普段からパソコンの作業が多い人は、パソコン環境を見直すことをおすすめします。以下の点を参考にみてください。

・腕に負担がかかりにくいマウスやキーボードに変える
たとえばマウスに関してだと、真上から握るのではなく少し横向きにして握るタイプなど、マウスもキーボードも様々な商品が販売されています。ちょっとした角度の違いだと思われるかもしれませんが、これだけでも手首は楽になるそうです。また最近では、スペースキーやエンターキーを足のペダルで行うというものまであります。

・パームレストなどの付属品を使用する
パームレストとは、手首用の枕みたいなものです。これを使用することで、手首の反りが緩和されて負担を減らすことができるようです。お手ごろな値段で売られているそうなので、マウスやキーボードを買い替えるよりは取っ付きやすいのではないでしょうか。

・マウスではなくタッチパッドを使用する
タッチパッドとは、ノートパソコンにある指を滑らせて操作する機能のことです。マウスを使わずに済むので、その分の負担を減らすことができるでしょう。

 

まとめ


 テニス肘と呼ばれているのでスポーツをしていて起こるのかと思いきや、パソコン作業も原因になっていまうとは驚きですよね。現代では長時間のパソコン作業を毎日行っているという方も少なくないと思うので、パソコン環境を変えてみたりストレッチをするなどして、少しでも腕に負担をかけないよう気を付けてみてください。