膝蓋腱炎(ジャンパ-膝)

初期:膝蓋骨の下の違和感

中期:徐々に走ったりジャンプした時に痛みを感じるようになります。この頃は運動中や運動後しか痛みは見られません。
 慢性期:膝が腫れてきて少し歩いたりさわっただけでも痛みを感じ、安静時でも痛みが生じるようになります。
 

膝蓋腱について
大腿四頭筋は膝蓋骨をへて腱となって脛骨の上端部分【脛骨粗面)まで伸びて付着する。膝蓋靭帯とも呼ばれる。
 膝の伸展や関節の安定に重要な役割を果たす。

スポーツなどで膝に大きな負荷がかかることで膝蓋腱が損傷し、炎症を起こしたものが膝蓋腱炎です。ジャンパーズニーなどとも呼ばれます。
 

原因

ジャンプをする時、大腿4頭筋が筋肉が収縮し、膝蓋腱が引っぱられます。そして着地の瞬間に膝が曲がるため再び膝蓋腱は強力に下へ延ばされる力が働きひっぱられます。
このように強い力で引っぱられたり伸ばされることが繰り返されると、膝蓋腱に小さな断裂などの損傷が生じて炎症を起こします。ランニングでも発生します。

 

膝蓋腱炎は、膝の使いすぎによって起きます。その名のとおり、ジャンプをする跳躍競技や、ボールを蹴るようなキック動作、ダッシュを頻繁に行うスポーツに多く発生します。ランニングを多く行う競技での発症が多いようです。ジャンプやランニングはスポーツの基本的な動きなので、それだけ多くのスポーツで起こり、発症する人の数も多い障害といえます。

10~20歳くらいの年齢によく見られ、特に骨の成長が一段落する高校生以降の男子、背の高い人などに多く見られます。これは成長期において骨の成長に筋肉の成長が追いつかず、筋肉は硬く、腱も伸ばされた状態になり、膝の柔軟性が落ちて衝撃の吸収力が低下するためです。

 

 

3.診断・治療・予防

◆診断

膝蓋骨(膝の皿)の下を押した時に痛みがないか調べます。
そのほか、X線撮影(レントゲン検査)で膝蓋腱の傷み具合や膝蓋骨のズレの有無を確認します。膝蓋骨が上の方にずれていたり、膝蓋骨の下端に薄い剥離骨折が見られることもあります。
より精密な検査を行う場合は、MRI検査や超音波検査(エコー検査)が採用されます。

◆治療

痛みの程度や膝蓋腱の損傷の度合いに応じて様々な治療法が採られます。
軽度であれば、安静を保ちながら膝を冷やすアイシングを行い、炎症が治まるのを待ちます。膝が伸びた状態でテーピングやサポーターで患部を固定する装具療法も併用することで痛みを軽減できます。
痛みが強い場合は、これらに加えて炎症や痛みを抑える消炎鎮痛剤を使う薬物療法も行われます。
症状が和らいできたら膝関節のストレッチングや膝周辺の筋力トレーニングを行い、筋肉の柔軟性と筋力アップを図ります。
腱が完全に切れる「膝蓋腱断裂」が起きた場合は、腱を縫合する手術が必要になります。

◆予防

 

膝蓋腱炎の予防と再発防止に有効なのが、大腿四頭筋のリハビリです。筋トレやストレッチングによって筋力と柔軟性を高めることで衝撃を吸収し、膝蓋腱に加わる負荷を軽くすることができます。
運動の前後のウォーミングアップやクールダウン時には十分にストレッチを行いましょう。特に太もも前面を重点的に行い、股関節も同時に伸ばすと予防に効果的です。
痛みが出てきた時は、ストレッチングに加えて運動後に患部を冷やすアイシングを徹底し、安静時には(できれば運動中も)テーピングやサポーターを装着して膝を守ります。
痛みが強い時は膝を使う運動は中止し、患部を保護した上で早急に整形外科を受診してください。