デュピュイトラン拘縮


デュピュイトラン拘縮とは、手のひらから指にかけて皮下に硬結ができて、徐々に皮膚がひきつれて、徐々に指が伸ばしにくくなる病気です。

初期症状:まずはじめに手のひらにしこりやくぼみが出現します。

 進行期:手掌の皮下の筋が硬くなってし、徐々に指が曲がり始め、関節の動きが制限されるようになります。痛みや腫れを伴うことがあります。
終末期:腱膜が硬くなって指が伸ばすことができなくなります。指が曲がって伸ばせないことにより日常生活に不便をもたらすようになります。

 

デュピュイトラン拘縮は薬指と小指に多く発症しますが、他の指にも発症します。なお、病気の進行速度は一定ではなく、急に症状が進行したり、ゆっくりと曲がっていったりと予測することが困難です。

デュピュイトラン拘縮の進行

原因

発症の原因はよくわかっていませんが、手のひらの腱膜などにコラーゲンが異常に沈着することでできると考えられており、この拘縮索が指の引き連れが起こる原因になっています。
高齢の男性に比較的多くみられるほか、家族に同じ病歴がある、糖尿病、手に外傷のある方などがなりやすいといわれています。

 

 手のひらの腱膜とは    手のひらの皮下と腱の間にあり、各指に向かっている線維性の組織である。
   
   進行度によって  Meyerdingの分類がよく用いられている

Grade
 0:屈曲は無く、小結節があるのみ、

  1. 屈曲拘縮を1指のみに認める
  2. 屈曲拘縮が複数指に及ぶが各指とも屈曲角度の総和が60度以下である
  3. 少なくとも1指に60度以上の屈曲拘縮がある
  4. 全指に屈曲拘縮がある

 

治療

薬剤による治療(酵素注射療法)

拘縮索に薬剤(コラーゲン分解酵素)を局所注射することにより、拘縮索を構成する成分であるコラーゲンを分解し、拘縮索を断ち切る治療法です。注射翌日(原則として)に医師の診察を受け、指の状態によっては「指を伸ばす処置」を受ける必要があります。

手術療法

 

Grade0で痛みが無く、進行しない場合は手術の適応ではありません。しかし、屈曲拘縮が進行しGrade3以上になると、手術をしても関節可動域が完全に改善しないこともあり、早期の手術が望ましいといえます。進行すると皮膚の障害も生じるため、皮膚の形成術などの処置を加える必要があります。手術後は拘縮の程度により1~3ヶ月程度のリハビリが必要なこともあります。

 

4. 合併症

皮膚の壊死や、指の神経血管束が硬縮した筋膜に巻き込まれている事があるため、術後指の知覚障害を生じることがあります。